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就活ルール、2013年の「後ろ倒し狂騒曲」は最悪な結果を招いた 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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学術会議・就問懇・同友会・日本貿易会、そして政府。就活「素人」が暴論を振りかざした2013年改悪

 就活時期に関するルールについての連載第二回目となる。

・新卒採用ルールの連載全7回はこちらから。1回目。 2回目。 3回目。 4回目。 5回目。 6回目。 7回目

 2018年9月に経団連の中西会長が就活時期のルールについて自由化すべしとの私論を語ったことから、この問題が昨今注目を浴びている。

 前回記事では、そもそもなぜ、採用ルールが必要なのか、そしてそれがどのような経緯で8月1日(2015年実施、その後6月1日)となったのかについて書いた。過去、完全自由化時代に採用は2年次にまで超早期化し、企業も大学も消耗戦でへとへとになった。結果、4年の4月1日選考開始というルールを再設定し、小康状態が続いた。この方式だと、学生が物理的に一番時間を取られる大手企業の説明会が春休みに集中するために、学業阻害が比較的軽微ですんだからだ。

 ところが、日本学術会議・就職問題懇談会などの教育・学術系から「時期を後ろ倒しすべき」という改悪提案が相次ぎ、そこに日本貿易会・同友会などの経済団体も歩調を合わせた。最後は安倍政権下で日本再興戦略にて、就活時期が「留学減少の一因」と名指しされ、4年8月への後ろ倒しが4大臣連盟の指令として産業界に発せられる。これが2013年の「後ろ倒し狂騒曲」だ。

 こうして「学業阻害の軽減」「留学生の減少への歯止め」として期待された新卒採用の8月1日への後ろ倒しは、どのような結果になったのか。今回はデータで詳しく調べることにする。

採用時期に関するルールはやはり破られた。守った・守らないにはっきり二分化

 まず、文科省の「平成27年度(2015年度)就職・採用活動時期の変更に関する調査」で後ろ倒しの影響の概略がわかる。

(1)学生側の行活動状況でみた場合、「8月1日の面接解禁」以前に面接を受けていた学生が9割に迫るほどで非常に多い。

(2)しかも、8月1日以前に6割以上の学生が何らかの形で内々定まで得ている。つまり多くの企業で、採用ルールは守られていないということがわかるだろう。

(3)面接を開始した企業は、2月から増え始め、そのまま月を追って急増し、4月には一回目の山を迎える。その後、前期試験とその対策に追われる6・7月に下降し、正式な解禁日となる8月に二回目の山がくる。

(4)つまり、8月解禁を守った企業と、ルール無視で面接を開始した企業の2つに分かれており、学生は2回就活をすることで、学業阻害が大きくなった。

(5)内々定の時期も、3月から立ち上がりを見せ、こちらは5月に一度目の山となり、その後高位安定しながら、8月にピークを示す。こちらでも、8月解禁を守った企業とそうではない企業の二分化が見て取れる。

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