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就活を「自由化・通年化」しても、うまくいかないこれだけの理由 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 翌2013年3月15日の閣議後の記者会見で、下村博文・文科相が「就活の開始時期は3年ではなく、できれば4年の後半が望ましい」と述べる。ここでは「留学生が減っている第一の理由」として、「就職への影響」を挙げ、その解決策として「産業界と連動した就職時期の是正」が必要とされた。なんと、アベノミクスの成長戦略にもこの趣旨の一文が盛り込まれる。同年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略」に、「若者の活躍推進」項目として、「学修時間の確保、留学等推進」のために、就活後ろ倒しが明記されたのだ。

 政府は11月22日付で、関係四大臣(稲田朋美・再チャレンジ担当相/内閣府特命担当相、下村文科相、田村憲久・厚労相、茂木敏充・経産相)から、主要経済・業界団体(約450団体)に対し、連名で要請を出す。こうして、選考解禁は2015年より8月1日となる。

 経団連と日本商工会議所はこの方針に最後まで反対姿勢を示してきた。両者の言い分は、「後ろ倒ししたらルール違反が横行する。それを規制することはできない」(経団連)、「大手の採用が終わらないと学生が流れない中小にとって、後ろ倒しすると採用期間が短くなる」(日本商工会議所)というところだ。

 ただし、8月1日面接解禁ということで、大企業は会社説明会を1学期に開催し、結果、学業阻害がよりいっそう激しくなる。その上、ルールを守った企業は採れなくて、ルール違反企業は採れるという正直者がバカを見ることにで、ルールへの信頼度は失墜する。さらに、ルール違反企業とルール順守企業に分かれたため、学生は2回就活をすることで活動期間も延びた。結果、総理肝煎りで進められた採用活動の後ろ倒しには不満ばかりが募ることになる。

 翌年以降、面接解禁は6月1日に2カ月前倒しとなったが、事態は好転せず。そうして、冒頭の経団連会長発言となるのだ。

 次回は、8月1日面接解禁の影響を振り返ることにしよう。

海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。 その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の書籍を30冊以上上梓し、「雇用のカリスマ」と呼ばれている。近著は『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修、就職、就活、就活ルール

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