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就活を「自由化・通年化」しても、うまくいかないこれだけの理由 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 そんな、本気の松下とは異なり、ライバルの関西系大手家電は、負けてならじと生半可な形で大学3年インターンシップ採用を行う。2002年になると東京系もメーカーを中心に3年インターン採用は盛り上がりを見せた。そのさまを、当時の新聞報道から採用直結型インターンを行った大手企業の記事を抜き出してみる。

■2001年8月19日 日経新聞
 JCBについて言及
■2001年4月11日 日経新聞
 富士通について言及
■2001年10月10日 日本工業新聞
 三洋電機について言及
■2002年8月26日 日経新聞
 神戸製鋼、三洋電機、シャープ、三菱レイヨン、花王について言及

 自由化とは、すなわちこうした状態になることを指す。

 結果、大学は学業崩壊状態となっていく。ただ、企業の方もこの早期化競争は痛手をこうむった。何せ卒業までに2年もあるのだ。その間に内々定を出した学生たちが、その後も就活を続け、他社へ流れていくという頭の痛い問題も多発した。2年もあれば、業績に変調を来たして採用計画を変更することもあるだろうし、人員削減をせねばならに時もある。リストラ傍らで新卒が入社したらことだろう。そんな問題も生まれる。

 つまり、大学側も企業側もどちらもボロボロとなり、倫理憲章強化で4年生の4月が面接解禁となることでひと段落した、というのが過去の現実なのだ。

通年化採用で秋冬に窓口をあけても、条件にかなう学生はほとんど来ない

 通年化というと、秋や冬など「遅くまで採用する」ことを考える人もいるだろう。これも先行事例は多々ある。その昔、まだ日本に来たばかりの、マイクロソフトを初めとした大手外資系企業が、通年採用行っていたのだ。

 そして、その多くが現在ではそれをやめている。その理由も簡単だ。応募してくるのは、何十社も不合格となった学生たちばかり。ほしい学生は早々に決まってしまう。そんな状況だから、秋口に就職ナビに募集広告など出したものなら、決まらない学生たちが大量に応募して対応ができない。だからやめた。

 「いや、通年採用を行っている企業は多々ある」という声が聞かれそうだ。確かに今でもヤフーが通年採用を標榜している。その他にも、ハードなノルマでなる不動産会社や住宅会社、ファッション眼鏡チェーン、コンビニ大手なども秋季採用を行っている。皆、CMも多々打つ知名度のある一部上場企業だ。

 それだけでない。多くの大手メーカーも、少なくとも理系に関しては通年採用を行っている。そう、前言と相反する事実がそこらにある。なぜ、彼らは通期採用を行うのか?

 理由は簡単だ。彼らは採用数が充足していないから、採用を続ける。たとえ有名でも不人気な企業は採用枠が埋まらない。人気企業でも理系のような希少人材は、やはりなかなか枠が埋まらない。だから、必然「通年」となる。

 逆に、採用力がある企業は、枠が埋まる。だから採用をやめる。

 これでわかるだろう。通年化・自由化といっても、人気企業の文系採用だと、結局は早期化しか起こらない。秋冬まで窓口を空けているのは、学生数が絞られる理系か、もしくは採用予定を満たせない不人気企業が主となる。

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