急拡大する中国・貴陽のデジタル経済圏

あのBATも注目 中国・貴陽が「デジタルバレー都市」に成長へ エクサイジングジャパン/翼彩創新科技(深圳)CEO 川ノ上和文氏 に聞く

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 貴陽も、中国最大規模のVRテーマパーク開設といった特定領域に限ったニュースはありますが、日本で得られる情報は多くはありません。しかし、電子行政の推進、BATのデータセンター開設、アリババ傘下の生鮮食品スーパー「盒馬(フーマー)鮮生」の内陸都市としては先駆けての出店など、中国のビッグデータ産業や内陸実験都市の領域において貴陽は確実に存在感を増しています。

 貴州省は中国最貧地区で少数民族も多いエリアです。全国での競争力のある大学が貴州大学1校のみ。人材調達環境が乏しい点は、深圳とは大きく異なります。人材獲得が課題になっているのですが、行政主導でビッグデータビジネスの環境を整備している。しかもそれが、脱貧困という社会課題解決のため、官民一体となって進めている。「デジタルバレー都市」として日本でも注目を集める日は、そう遠くないと考えています。

生活情報までデータを蓄積

――貴陽ではビッグデータを活用し、社会課題を解決しようとしています。具体的にお聞かせください。

 貴陽市では、住民の戸籍・職業・健康などの個人情報から、市内に設置されたカメラから犯罪や交通のデータまで、普段の生活データを蓄積しています。また、エリアごとの貧困率を可視化したヒートマップも公開しています。

 最も特徴的なのは、それらのデータを行政が条件に応じてサービス開発用に開放していること。行政のクラウドに民間企業がアクセスして住民データを活用し、医療、農業、物流などさまざまな分野で新しいビジネスを生み出しているのです。

 社会主義国家だからできることだと感じる半面、ビッグデータを活用すれば実際に生活が豊かになるという現実を行政主導で住民に体感させ、加速度的に社会の在り方を変容している点は見事です。

 結果、何が起きているかというと、個人情報保護などをすっ飛ばして、「個人のデータを公にすることで社会と暮らしが豊かになるなら、いいじゃないか」という概念のリープフロッギング現象です。貴陽では、市をあげてビッグデータ産業を推進する気運が醸成されています。

知らないことはリスクに

――貴陽の最新事例を、日本の企業はどう捉えるべきでしょうか?

 貴陽ではこれから、ビッグデータビジネスの最新事例がどんどん出てくると見ています。そのままでは、日本に転用するのはほぼ不可能だと考えます。前提となる社会課題も法規制・倫理観も、あまりに違いすぎるからです。

 ただ、こうしたデジタルディスラプターの台頭を知らないとのいうのはリスクが大きい。ディスラプターの動きを理解しておかなければ、資本力を武器に早期に芽をつむことも、最適なタイミングで提携を持ちかけることもできません。企業規模、既存事業の強みを活かしてうまく付き合えるのが理想です。

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