ニッポンのインフラ力

人口減、財政難…待ったなしの水インフラIT化 グローバルウォータ・ジャパン 吉村和就代表に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

――ITを導入するとどんなメリットがあるのでしょうか。

「まずは配管などにセンサーをつけて、現在は手動でやっている点検や記録をデジタルでやることで、かなりの作業を省力化できます。自治体の仕事は非常に細分化されていますが、一人三役といったことが可能になります。また、濁土の汚泥処理に使う薬品代はかなりの費用になるのですが、気象予測によって雨が降る前に配水池にきれいな水をためておくといったことができ、そもそも汚泥処理をあまりしなくてもいいようにコントロールできます」

「こうした予測制御は防災対策にも有効です。例えば市街地ではゲリラ豪雨のような局所的豪雨により、下水道の排水処理が間に合わず、内水氾濫する地域が増えつつあります。マンホールの下から水があふれている光景がありますね。衛星などと組み合わせ、天気や雨量を予測し、ゲリラ豪雨がくるとわかったらこの地点のポンプで水を抜くなど、災害を未然に防げる可能性があります」

――ITによって効率化ができている実例はありますか。

「広島県と民間企業が共同出資で設立した『水みらい広島』では、タブレット端末を社員に持たせ、業務の効率化を図っています。浄水場の運転状況、水の流量や薬品の投入などのデータを毎日見ます。そうすると、まるで皆が場長になったかのように、薬品の投入のタイミングはこうした方が効率的だと思うなど、効率化につながる提案が数多く上がってくるようになったそうです」

「全国的なシステムでは、メタウォーターが2011年から水道インフラのIT管理システム『WBC(ウォータービジネスクラウド)』を展開し、約100の自治体が利用しています。多くの水道施設ですでに流量などはデータをとっていますが、それを監視・記録するにあたって紙の台帳を使うことが多い。こうした報告書を自動作成できるツールがまず役に立ちます」

「また、水道施設で使う機械にはそれぞれメーカーの推奨使用期間があるわけですが、それは海に近い施設と山にある施設では、実際の劣化具合は違いがあるのは想像に難くないでしょう。機械の一部がさびていたら、その部分を写真に撮って投稿できる機能があるのですが、こうしたデータがたくさん集積されると、この機械はこの立地ならもう少し長く使えそうだから、更新は何年後で大丈夫だろうといった予測・投資計画が可能になります」

――民営化にあたって注意点はどんなことがありますか。

「よく民営化に反対する人は『料金が不当に上げられる』と言います。現在、水道料金の変更は各自治体の議会の承認が必要です。すでに民営化が進んでいる英国では『オフワット』という機関が、水道各社の料金やサービス品質を監督しています。日本でも第三者によるチェック機関が必要になるでしょう」

キーワード:経営、技術、製造、ものづくり、イノベーション、IoT、ICT、AI、環境問題

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。