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人口減、財政難…待ったなしの水インフラIT化 グローバルウォータ・ジャパン 吉村和就代表に聞く

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協力:明電舎

 人口減少、職員の高齢化、設備の老朽化などで日本の上下水道事業は実は「危険水域」にある。官民連携でIT(情報技術)の導入で効率化を進めようとしている。水環境問題の専門家で国連テクニカルアドバイザーも務める吉村和就氏に、水道事業の現状とIT化について聞いた。

――日本の上下水道はどんな危機にあるのでしょうか。

「まずは人口減少によって、過去10年間で2000億円の料金収入が減少しています。料金の回収などは各市町村がやっているのですが、全体の1400弱の8割にあたる自治体が人口が5万人以下で料金収入は10億円以下。職員の人数も2~3人のところが多い。さらにその職員も高齢化が進み、ヒト・技術・カネが同時多発的に失われているという深刻な状況です」

「設備の老朽化も深刻です。水道施設は昭和30年代に建設されたものが多く、例えば大阪北部の地震で吹き出した水道管は約50年経過したものでした。しかも配管の図面も古いと正確なものが少なく、地下のどこにどんな管があるか、実は掘ってみないとわからなかったりするのが実情です」

「水道事業が細かく自治体で分かれています。上水道は厚生労働省、下水道は国土交通省と所管の官庁が異なるのも問題を複雑にしています。地方に多い農業用水は農林水産省の管轄です。しかし水というのは全てつながって流れています。行政の都合で責任者が分かれているために、全体最適で判断できていないことは少なからず影響していると思います」

――どんな対策が講じられているのでしょうか。

「最近の大きな動きでは水道事業の広域化・民営化です。広域化というのは、『1県1水道』という動きがあり、香川県・宮城県・滋賀県などが検討中です。各市町村で別々に管理するよりは県単位など大きな組織にした方が経費を節減できます。特に宮城県が提唱する『宮城方式』では、上下水道の一体運営、さらに農業排水事業なども一括して民間に委託して効率化しようとしています」

「民営化だとすでに浜松市の下水道事業では、世界大手の仏ヴェオリア社が日本企業と共同で運営権を取得しました。広域化、民営化で重要なツールになってくるのがITです。遠隔監視や料金回収などの共通のプラットフォームが必要になるからです」

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