現場発で考える新しい働き方

テレワーク、機能させるには3つの課題がある 弁護士 丸尾拓養氏

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テレワークを労働時間規制からアプローチするのは適当か

 テレワークについての議論が進んでいます。「ワークライフバランス」「女性活用の推進」「育児・介護と仕事の両立」「仕事と家庭生活の両立」などの実現のための仕組みとして注目されています。インターネットやクラウドなどの情報通信技術(ICT)が発達したことにより、事業場外で労務提供が可能となったことを背景とします。

 このテレワークについて、労働基準法の労働時間規制の枠組みから考えるアプローチが通例です。確かに、既存の規制との調和は必要でしょう。ここでは、労働基準法の適用対象となるか否かという「労働者」性や、事業場外勤務としての同法38条の2の事業場外労働みなしの適用の可否などからアプローチされます。

 「労働者」性については、テレワークが雇用型/非雇用型の2種に区分され、前者では「労働者」性が肯定されるとします。事業場外みなしの適用については、同条の1項の「労働時間を算定し難いとき」に当たるかが問われます。しかし、「新しい酒は新しい皮袋に入れろ」ということわざが思い出されます。

 確かに、「労働者」性については使用者の指揮監督下にあることが重要とされ、「労働時間」についても「労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」とされます(最一小判2000年3月9日)。しかし、これは使用者の「事業場」内において労務提供がなされることを前提としていました。営業職のように事業場外での活動が労務提供である場合には、その「行為」は「使用者の指揮命令下」にあるものの、「労働時間を算定し難いとき」に当たるとされたのです。

 「労働時間の把握」について、ガイドラインは、「始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法」として、「使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること」と、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること」のいずれかを原則としています(「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」2017年1月20日)。

 テレワークを事業場「外」労働として見るだけであれば、このようなアプローチもあり得るでしょう。しかし、テレワークの理解にも多種のものがあり、特に、「育児・介護と仕事の両立」の場合には、育児や介護をしながら仕事をするという「ながら」就労を期待する労働者も存在するようです。

 業務を行う場所に応じて、(1)労働者の自宅で業務を行う「在宅勤務」、(2)労働者の属するメーンのオフィス以外に設けられたオフィスを利用する「サテライトオフィス勤務」、(3)ノートパソコンや携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で業務を行う「モバイル勤務」という分類もなされています。

 しかし、そもそもテレワークの問題は、職務専念義務、労務提供の継続性(ずっと労務提供していたこと)といった「労働時間」の別の面が現認できないこと、客観的記録を基礎として把握し難いことにあるのではないでしょうか。また、これにより、長時間労働を含めて、使用者が労働者の「行為」を指揮命令下に置くことが困難であることも課題です。

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