日経SDGsフォーラム

企業、自治体 SDGs軸に持続的成長めざせ 日経SDGsフォーラム シンポジウム(上)

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 持続可能な開発のため2030年までに達成すべき目標として国際連合が採択したSDGs。気候変動などの環境対策や貧困、飢餓の撲滅などを目指す。日本経済新聞社は7月31日、都内でSDGsを巡る課題を考えるシンポジウムを開催。政府関係者や学識経験者、企業経営者、自治体トップが議論を深めた。

■挨拶
外務副大臣 中根 一幸氏
国家戦略の主軸として推進

 「持続可能な成長を実現し、豊かさと幸せを共有するためオールジャパンでSDGsを推進する」。6月の第5回SDGs推進本部会合で安倍晋三首相は強い決意を示した。

 SDGsの盛り上がりの背景には、日本の経済界がSDGsに可能性を見いだし、けん引していることにある。SDGsを推進する企業の株価に連動する世界銀行債券、環境対応や企業統治に優れた企業に投資するESG投資、経団連の改定版企業行動憲章で超スマート社会「Society5.0」実現を通じたSDGs達成が基本理念に掲げられたことも推進力になっている。

 政府はSDGs達成に向け、すべての人が能力を最大限発揮し、活躍できる多様性のある社会をつくる考えだ。安倍首相はSDGsを日本の国家戦略の主軸に据える「拡大版SDGsアクションプラン2018」を決めた。

 今後は「官民連携の科学技術イノベーション」「SDGsを活用した地方創生」「女性のエンパワーメント(力の結集)」の3本を軸にSDGsを推進。企業や地方自治体がSDGsを成長のチャンスとして活用することを全力で後押しする。

■基調講演
外務省 国際協力局 地球規模課題総括課長
甲木 浩太郎氏
課題解決のための羅針盤に

 国連で採択したSDGsは、2030年までに世界をより良くするための17目標、169のターゲットを掲げている。格差が拡大した国際社会で持続可能な未来をつくるには変革が必要だ。

 SDGsには課題解決のための羅針盤としての役割がある。未来の姿から逆算して現在の施策を考える「バックキャスティング」、客観的なデータから施策を検討する「アウトサイド・イン」、そして「共通言語」の3つがキーワードだ。

 日本の中小企業には長寿企業が多く、中長期を見据えた継続性を重視する考え方が強い。先端技術や伝統的な知恵の活用という特徴もあり、SDGs達成に欠かせない視点といえる。

 SDGsの認知度は経営層では上昇しているが、中間管理層や国民全般までは広がっていない。一方、17目標への共感度は高いとのデータもある。認知度が上がれば行動につながる可能性は十分にある。

 政府は16年、SDGs推進本部を設置。今年6月には「拡大版SDGsアクションプラン2018」を決めた。SDGsと連動する「Society5.0」の推進、SDGsを原動力とした地方創生、SDGsの担い手である次世代・女性の活躍が3本柱だ。

 「ジャパンSDGsアワード」も設け、先進的取り組みを評価する。SDGsが目指す世界の実現には、我々自らが行動することが不可欠だ。政府は普及啓発、行動に対する支援、国際社会での発信に取り組んでいく。

■基調講演
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 代表理事
有馬 利男氏
企業経営との統合を急げ

 企業がSDGsに取り組む意欲は拡大しているが、本質的に経営と統合しているかといえば疑問が残る。社会の課題解決をリードしてきたのは、持続可能な世界を実現するための枠組み「国連グローバル・コンパクト」だ。グローバル市場の急発展の弊害として顕在化した人権問題や環境破壊が世界のビジネスリーダーによって問題提起され、2000年に国連本部で正式に発足した。

 人権・労働・環境の3分野で9つの原則を掲げる。同時期に発展途上国支援が主軸のミレニアム開発目標(MDGs)が合意され、先進国の課題解決に役割を拡大したSDGsに引き継がれている。

 欧州ではSDGsを巨大な商機ととらえている。「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」の4領域と10の原則を企業や組織が行動原則として採り入れ、持続可能な開発がビジネスにつながるとの認識だ。

 富士ゼロックスで経営変革を進め、事業基盤の強化を図った私の経験を紹介する。方針を社員に浸透させるとき、モチベーションの重要性を痛感した。経済性だけを追い、コストダウンを強いては社員の共感は得られず、無形価値を利益につなげる変革は起こらない。

 社会課題の解決を推進し、社会性と人間性を兼ね備えた企業品質を持つことが前提との結論に達した。これがアイデアを生み、ビジネスチャンスになる。経済性、社会性、人間性を統合した価値追求が持続可能なビジネス創造につながっていくといえる。

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