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ベーシックインカムによって「超増税」社会が来る?! 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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本当に生活底上げが必要な人口は200万~300万人

 彼らを除いて、本当に生活底上げが必要なのに今は支援がされていないのは200万~300万人程度は存在するだろう。何らかの事情で正社員になれず、生計維持が厳しい人たちだ。

 彼らに的を絞るならば、支援策ももっと手厚くできる。こうした無駄がBIの根本的問題であり、そしてシカゴ学派やリバタリアンの欠陥的行動様式だと指摘しておきたい。

 精査して本当に必要な人に絞れば、手厚い支援が行える。それを生半可な概観把握により適当にばらまけば、不要な人に超過サービスとなるだけなのだ。

中間所得者には増税

 結局、原田型BIでは誰が得をするのだろうか?

 現在、年収0の人は84万円ももらえるようになる。ただし、年収0のうち、何かしら問題を抱えて就労困難な人は現在でも生活保護や年金などが支給されている。その額とBIとではマイナスになる可能性が高い。

 現在、社会的支援が薄い人たちは純粋にBI額がプラスとなる。たとえば主婦、引きこもり者などは得をするだろう。

 一方、フルタイムで働く低所得者はどうだろうか? 原田型BIでは、各種控除が撤廃され、年額84万円のBIが支給される代わりに、労働報酬については一律3割の新所得税が徴収される。年収200万円の人は、BIと所得税の差分は24万円、年収250万円だと9万円しかない。

 年収280万円の人は、BIと新所得税が相殺されて支給額は0となり、そこから増収すれば税金を徴収されるようになる。単身者で考えると、300万円を超えたあたりから、現状よりも増税となっていく。

 年収500万円の単身者では年間で50万円程度の損となり、700万円では100万円を超える。

 中間所得者にとっては大幅な増税であり、専業主婦は得をする。これでは「女性は家庭に入れ!」という流れが強化され、少子化社会での労働欠損が助長されるだろう。

 さらに、高額所得者にはこの税制下では大幅な減税ともなる。

 現在、年収4000万円超の限界税率は45%。年収1800万円超でも限界税率は40%だ。それ以上の収入でも原田型BIでは所得税は30%ですみ、彼らにも彼らの世帯構成員にも年額84万円ものBIが支給される。こんなおかしな制度を日銀副総裁たる人が主張しているのは全く理解に苦しむばかりだ。

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