未来の働き方を大予測

ベーシックインカムによって「超増税」社会が来る?! 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 まず、生活保護の実態について世界を見渡してみよう。原田氏のいう通り、日本の公的扶助は支給者ベースでみると給付水準が高い。ただし支給者の数が少ない。ここまでは正しい。

 ただ、もう一つ特徴がある。「日本は総額予算が少ない」のだ。対GDP比でみるとOECDの最下位群に位置している。この3つ目の特徴を「捨象」した結論が原田式BIだ。どういうことか説明しておこう。

 他国でも日本同様に「労働困難な人」には高額な扶助が行われている。ただし、裾野が広く、「ある程度は労働が可能な人」にまで他国では扶助がなされる。結果、他国は扶助総額の予算が増え、また、扶助されている人一人当たりの支給額が下がる。

 もし、他国に合わせるのであれば、日本も扶助予算を増やし、「より広く」支給することが必要なのだ。いうならば、現状で高額を支給されている「労働困難な人」の給付を維持しながら、BIを月7万支給するという方向を考えねばならない。つまり、BIで現行制度を代替するのではなく、BIは追加的な施策とすべきだ。

非正規の多くは主婦・高齢者・学生

 続いて非正規の待遇底上げについてだ。こちらは、雇用データを子細に見る必要がある。

 現状、雇用者の4割にまで迫る非正規だが、その内訳がどうなっているか?

 まず、圧倒的に多いのが、主婦のパート、バイトとなる。これは2009年の労働力調査に既婚・未婚・性別の分類表があるので、その当時の数字を出しておく。

 2009年当時、すでに1756万人も非正規はいたが、その半数以上となる900万人が主婦だった。続いて高齢者が多いが、その中には主婦が重複するので、年齢別既婚率から女性既婚者を差し引くと、おおよそ250万人が60歳以上の高齢者(主婦を除く)となる。次に多いのが学生でその数が120万人。ここまでで、1270万人で残りは500万人を切る。

 要は、非正規といってもその多くは、主婦・高齢者・学生なのだ。彼らの多くは、配偶者や親権者の収入や年金など主たる世帯収入があり、また、その他支援策も受けている。

 たとえば、多くの主婦は、世帯ベースで配偶者控除・配偶者特別控除を受けており、さらに本人には社会保険免除(3号保険)の特典もある。学生も扶養家族控除や年金免除・猶予、健康保険は世帯主負担となっている。果たして彼らにBIで「生活底上げ」が必要か?

 一方、高齢者の非正規に関しては、BIが基礎年金と相殺されてしまう。だから原田型BIでは全く底上げとならない。

 主婦・高齢者・学生以外の非正規500万人弱の中には、障害や母子家庭、生活保護など別の給付を受けている人も少なからずいる。そうした人たちの「現状の給付」をなくし、BIを支給することで本当に生活の底上げが可能か?

 また、事務職の女子など両親と同居している非正規労働者も多いだろう。彼らにもBIが必要か?

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