ソーシャルメディア四半世紀

これからのネットビジネスに欠かせない要素 東京経済大学教授 佐々木裕一

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 ウェブ日記、ブログから口コミサイト、SNS、ソーシャルゲームまで、ウェブの世界はどう進化してきたのでしょうか? 気鋭の情報社会学者が、ソーシャルメディアの過去を俯瞰しつつ、未来のネットビジネス、メディアを展望します。

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 「下部構造としての広告収益モデル」「ユーザーコンテンツの商業活動への接近」「テキスト投稿の多くは身内のおしゃべりに」という視点から日本のユーザーサイトおよびソーシャルメディアの20余年の歴史をまとめてきた。それを踏まえつつ、ユーザーサイトに関連プレイヤーを加えて表現したのが「図:ネット事業者の現状」である。この図からは今後5~8年ほどのインターネットビジネスでの潮流とユーザーサイトにとっての課題が見えてくる。

図:ネット事業者の現状(筆者作成)

 図の横軸は、ブーニュー流のメッセージ内容が重視される「情報」と、内容よりも行為がより肝要となる「コミュニケーション」の対比を示している。ウェブにおける「情報」は2010年までは主にパソコンを用いて自分から取りに(引き出し)行くものであったので、「情報」の文字の脇には括弧書きで「パソコン/Pull」と入れてあり、括弧には、この2つの要素がしだいに影響力を失うだろうという意味がある。逆にパソコンやスマートスピーカーといったデバイスでもAI相手に音声で会話をして、好みの商品などを引き出す(Pullする)機会が増えるだろうというのが「コミュニケーション」の脇にある括弧に入った「スマートフォン/Push」の意味である。

 縦軸は「メディア」と「仕組み」の対比を示している。振り返っておくと、「メディア」とは、情報もしくはコミュニケーションの提供を主たる機能とし、それに基づいた次なる利用者のアクションをネットを通じて特別に支援しないものである。一方、「仕組み」とは、利用者による情報やコミュニケーションの消費で完結するのではなく、その後の利用者のアクションがネットを通じて支援ないしは誘発されるものである。そして現状のウェブでの「仕組み」はECが非常に大きな領域として先行している。

求められる「仕組み」化

 取り上げたユーザーサイトの多くは、灰色の台形に示した左下のA象限から始まった。そして時間とともに「場」のあるサイトにおいても、投稿コンテンツはコミュニケーション化(おしゃべり化)し、SNSが用意したボタンによって身内化した。それが右下のB象限への動きである。またB象限に位置する「2006年以降のユーザーサイト」の中には、ニコニコ動画やpixivといった動画やイラストというユーザーコンテンツを介したコミュニケーションを当初から企図したものもあった。

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