未来の働き方を大予測

AI進化に伴う雇用シフトが東アジアを世界最強にする 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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日本は「塞翁が馬」的な移行期となる

 これから先15年間の日本の雇用を振り返っておく。15年というタイムスパンであれば、AIはまだ特化型にとどまり、機械による労働代替は言われるほど多くは生じない。その規模は570万人程度であり、就労人口は1割程度の減少となる。ただその間に、生産年齢人口は820万人、労働者数は650万人も減少する。こうした社会情勢の中にあっては、AIによる労働代替は不安要素というよりも、むしろ歓迎されるべきこだとわかる。ただ、少し俯瞰して考えれば、それは人口減少社会という「日本」の特殊性ゆえにいえることだとわかる。人口が維持されている、もしくは増加している国で、1割も雇用が減ったら、失業率はとんでもないことになるだろう。そう考えると、日本は「少子化が進んでいてよかった」という皮肉な結論に至る。

 万事塞翁が馬、という中国の故事がごとく、現在目の前に起きている災厄が、しばらくすると案外好事につながったりする。昨今の日本ではこんなことがよく起こる。2009~2012年の超円高期、東日本大震災による電力供給の不安定も重なり、日本企業は業種を問わず、海外進出を余儀なくされた。元から空洞化が進んでいた製造業のみならず、販売・サービス・金融などの大手企業も、積極的にグローバル化を進める。その直後にアベノミクスにより大幅な円安となる。

 この時期は世界同時好況期でもあり、欧米日中では、株価も地価も大幅に高騰していく。一足先にグローバル化を果たした日本企業は、海外各地で大幅に売り上げを増やし、それを連結決算すると円安効果で利益がかさ上げされるという「盆と暮れが一緒に来た」状態となる。

 もし、この順番が逆だったらどうなったか? 円安期であれば、現地の地価や設備機器、人件費などがかさ上げされて、進出はままならない。さらにそこに好況が重なれば、株価や現地通貨ベースでも3倍近くにもなるので、企業買収もできないだろう。

 日本の場合、不況×円高期にグローバル展開できたので、それに必要なコストは、好況×円安期の2~3割で済んだといわれる。そしてその直後に好況×円安となったため、投資コストの回収は早く、2015~2017年にかけて史上最高益を記録する企業が続出した。まさに、「塞翁が馬」といえるだろう。

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