未来の働き方を大予測

「AIによる省力化」でも補えない人手不足を解決する方法 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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AIと雇用のパラダイムシフトを振り返る

 AIと雇用の関係を再考する連載も5回目となった。このあたりで過去4回を振り返っておこう。

 まず、今、爆発的なスピードで進化を遂げているAIは、「何か一つの仕事に特化して習熟をする」という特化型AIと呼ばれる類のものだ。多種多様な仕事をこなすことには向いていない。また、それは知的業務の代替は可能だが、物理的な作業はできない。そうしたものを代替するためには手足の役割をするメカトロニクスが必要となる。

 とすると、現状の特化型AIで大体できる仕事は、「コンピューター内で完結する知的習熟作業」が主体となる。結果、ここしばらくの間、AI代替が起きるのは、経理、税務、法務、通関などのいわゆる事務スペシャリスト領域の仕事がその主体となる。

 一方、真っ先になくなると思われがちな製造・建設・接客・販売・配送などの単純業務は、なかなかなくならない。まずそれらは物理的な作業が伴うために、必ずメカトロニクスが必要となる。そして、単純に見えるその仕事も実は、5~10種程度の異種作業を一人の人間がこなしている。とすると、機械で大体するには、その細切れ作業に応じたAIとメカトロニクスが必要となり、とても投資が成り立たない。だから急にはなくならないのだ。

 その代わりに発生するのが「すき間労働化」だ。企業は、5~10の細切れ作業のうち、一番熟練が必要で付加価値の高い作業のみ、AI+メカトロ化するだろう。そうすると、熟練の必要な難作業がなくなり、仕事は誰でもできる簡単な労働だけになる。こうした機械のやらない簡単な作業のみを人がやる、という働き方を「すき間労働」と呼ぶ。

2040年代には雇用減少の波が押し寄せる

 さて、単純作業全般が機械により代替されるのは、AIが新たな進化の段階=全脳アーキテクチャー型に進化した時だ。それは今よりも20年以上も先のこととなるだろう。そのころにはメカトロニクスも進化しているため、一つのAIと一つのメカトロで異種多様な作業がこなせるようになる。結果、製造・建設・接客・販売・配送などの仕事が機械代替されるようになるのだ。

 これら技術が開発されると、機械代替はかなり早いスピードで進むと予測される。たぶん、一台のAI&メカトロを入れれば、それは24時間稼働(3人分の仕事量)し、さらに休みもメンテナンス日数(月1日程度)しか発生しないために、さらに+一人分の仕事をこなす。つまり1台で4人分の業務代替が可能で、そうすると製造設備や用地なども4分の1ですむため、企業は大幅なコストダウンができる。そのうえ、24時間フル稼働のため、短納期の発注も受けられるようになる。こうしたことを全て合わせると、人件費・コストダウン・機会損失軽減などで、1台で2000万円近くの利益を企業にもたらすだろう。とすると、1台1億円でも購入する企業が出る。5000万円を切れば大半の企業が導入を検討するはずだ。つまり、この程度までコストダウンするだけでいいので、この機械の浸透普及は早いだろう。

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