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「問題言動ある社員」にどう対応すべきか? 大切な4つの視点 弁護士 丸尾拓養

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1、何を「問題」として選択するかを考える

 労働者の言動に問題となるものが見られることがあります。「問題」といっても、成果が足りないのか、組織秩序の観点から許容されないのかでは、現れ方が異なります。勤務態度不良、ハラスメント、出勤不良、協調性欠如、能力不足、業績不良、他者批判、自己中心的、組織攪乱など多種多様のものがありますが、実際にはいくつかが混在する複合的な問題言動であるのが通常です。「問題社員」または「ロー(プア)・パフォーマー」などと呼ばれることもありますが、労働者自体ではなく、その言動が問題であると位置づけたほうが適切でしょう。

 問題言動の背景には、当該労働者側の事情、上司や同僚らの周囲の事情、これまでの経緯など様々な要因があります。当該労働者の性格傾向や「精神的な不調」との関係がうかがわれる場合もあります。問題言動への対応は、そのような問題言動が生じた原因を究明することから始まります。この原因が的確に究明できれば、解法は比較的に容易に見つかります。

 問題言動が軽微なものであれば、通常の口頭の指導や注意で終わります。しかし、一定限度を超えると、懲戒がなされることもあります。労働契約を維持できない状況になると、普通解雇なども検討されます。

 かつては、問題言動に対して、使用者が指導や注意を繰り返すことが何よりも必要とされ、それでも改善されない場合に初めて解雇が「できる」とする考え方が一般的でした。現在でも、これは基本的には変わらないでしょう。しかしながら、事案によっては「労働契約終了はやむを得ない」という結論が先に立ちます。指導や注意という適切なプロセスの履行は、解雇を「有効にする」ために必要とされます。指導や注意は、解雇が争われたときに有効であると判断されるための一要素となります。

 こうした考え方からは、何を問題言動として構成するかが重要となります。複合的な問題言動は、見る角度によって様相を異にします。どの角度からアプローチするかにより、解法はシンプルかつスピーディーになるか、複雑かつ時間を要するかが異なります。「有効な解雇」という結果から見たとき、一要素として必要とされる指導や注意の内容も変わってきます。このようなアプローチがとられたとき、解雇まで至らずに解決したり、退職届が提出されたりすることもあります。

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