なぜ、御社は若手が辞めるのか

なぜ、御社は若手が辞めるのか~離職につながる12の理由 青山学院大学経営学部教授 山本 寛

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離職につながる12の理由

 他にもインタビューを重ね、退職者の声をもとに、離職につながる理由を私なりにまとめてみました。

a「上司が信頼できない」(ケース3、4)
b「その他人間関係、職場の雰囲気が合わなかった」(ケース3)
c「仕事が自分のキャリアに役立たない(つまらないなど)」(ケース1、3、4)
d「仕事の負担が重すぎる」(ケース4)
e「自分に対する評価に満足できなかった」(ケース2)
f「将来の昇進・昇格の見通しに不安」(ケース1、3、4)
g「会社の将来性が不安」(ケース1、3、4)
h「労働時間が長い(残業が多いなど)」(ケース3)
i「給料が安い(仕事内容や頑張りに比して)」(ケース1、3)
j「会社の理念・経営方針に不満」(ケース1、3)
k「仕事の領域を広げたかった」(ケース1、4)
l「これまで以上に能力・知識を発揮したかった」(ケース4)

 k、lがポジティブ理由で、その他がネガティブ理由と言えそうです。

 その他「仕事に飽きてきた」「勤務地・仕事への不安」などもありました。

 前述した通り、これらの12の理由のうち、いくつかの理由が重なることによって、社員は退職を決意することが多いと言えそうです。

半数の人は自分の評価に納得していない?

 なお、やや余談になりますが、eで挙げている「自分に対する評価に満足できなかった」に関連した調査・研究を紹介しておきましょう。

 あしたのチームの調査(2017 中小企業の人事評価の悩み・課題に関する調査)で、従業員に自分の評価について聞いたところ、「評価が低いと思う」「まあ低いと思う」の合計が50.6%でした。

 この調査によれば、2人に1人が「自分の評価が低い」と思っているということになります。

図表 「自分の評価は高いと思うか?」の回答

 同じ、あしたのチームの調査(2017 中小企業の転職・辞職に関する調査)で、「人事評価に納得できず転職または辞職を考えたことはあるか」と聞いたところ、「ある」と回答したのが34.0%、3人に1人という結果であり、評価への不満が会社を辞める引き金となっているケースが少なくないことがうかがえます。

 これについては、「自己評価は2割増しの法則」(2007 畑村洋太郎 『数に強くなる』 岩波書店)など、多くの研究があります。人間は、客観的に下される判断よりも、自分自身のことを2割増しで高く評価してしまう、という習性があるそうです。

 ここから、「社内の評価が低すぎる」という不満を持つ人たちが、実際に自分のことを的確に評価できているかはわからない、ということが言えます。

山本寛著『なぜ、御社は若手が辞めるのか』(日本経済新聞出版社、2018年)「第2章 若手はこうして会社を辞める」から
山本 寛(やまもと・ひろし)
青山学院大学経営学部教授。1957年生まれ。79年早稲田大学政治経済学部卒業。その後、銀行などに勤務、大学院を経て、現職。博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。経営科学文献賞等受賞。『「中だるみ社員」の罠』『自分のキャリアを磨く方法』『昇進の研究[増補改訂版]』『人材定着のマネジメント』『働く人のためのエンプロイアビリティ』など多数の著書がある。研究室ホームページ:http://yamamoto-lab.jp

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修

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