なぜ、御社は若手が辞めるのか

なぜ、御社は若手が辞めるのか~離職につながる12の理由 青山学院大学経営学部教授 山本 寛

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 同期が辞めていった理由の1つは、会社の採用テーマ。2、3年前は「新卒3年目で店長になってやる子、おいでー」みたいな体育会系のテーマだったが、Gさんの代は「お客様の愛と幸せに寄り添う仕事に携わりませんか。」というようなドリーミーなテーマだった。ジュエリー販売に夢を持って入社した人材が多かったことも上の世代とのギャップを生み出したようだ。また当時は毎月の売上目標も達成できず、会社の将来についても不安を感じていたという。給料はそれなりだったが、売り上げが良くないためボーナスは出ない。それに勤務時間はほぼ10時間。販売職のためいつも店内を歩き回っており、体力的にもきつかった。

 「やりたいことをやれていたら、多分気にならないんでしょうけど。『やりたくないのに何でこんなに我慢しなきゃいけないの』みたいなものをずっと感じていましたね」

 この会社にいてもしようがない、自分のためにはならないと感じ、退職を決意したGさん。学生時代のゼミで人事に興味を持った経験から、IT企業に転職、今は新卒採用を任されている。

 「販売職で初対面の人と話すことを2年間繰り返してきましたから、そこに対して抵抗がなくなったのが、前の仕事で唯一プラスになったところですね(笑)」

 「上司への不満」「やりたいことではない」「労働時間」……ここにも、3つ以上の要因が存在しています。

【ケース4】人材サービス会社勤務Cさん(29歳男性)※不動産賃貸営業から転職

 ベンチャー系の不動産賃貸の会社で、店長を務めていたCさん。会社の経営が危なそうだと気になり始めた。

 「店長に昇格して3カ月くらいで、仕事量も増えたんですが、給料の支払いが遅れたりして、経営が危なそうだなと思うような状況になったんです。そんな時なのに社長は取引先や株主とかと『〇〇に遊びに行った』といった話を聞いて。『もう信頼できない、転職する時期だな』と考えました」

 「会社の将来性への不安」「上司への不満」が存在しているようです。

 ずっと賃貸営業の仕事に就いていたCさん。年齢を重ねすぎると、不動産業界に固定化してしまう、発展性がないと考え、BtoCからBtoBの仕事、別の営業のタイプに挑戦を決意する。

 「今の会社を選んだのには、法人営業ができることが一番大きかったですね。あとは人材業界への興味。いろんな人と出会うことができて、もっと自分の営業としての価値も上げられるんじゃないかと思いました。また、会社の理念に共感したことも転職の決め手になりました」

 転職して約2年、Cさんは2つの理由で「転職して良かった」と感じている。1つは営業スキルを上げられたこと。BtoBの営業はこの会社で初めてだったが、実績も残せるようになり法人営業のスキルが磨けたという。2つ目は会社内にチャンスがあること。営業職しかやってこなかったCさんだが、今は別の部署に異動し全く違う職種の仕事に就いている。

 「転職してすぐは、わからなかったり戸惑ったりしたこともありましたが、2、3カ月経つとある程度仕事も社内のことも覚えられました。同じことの繰り返しでは発展性がない。新しいことにチャレンジできるのは楽しいですね。モチベーションを持って仕事に取り組めています」

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