”社風”の正体

経営者はなぜリスク・不祥事に「鈍感」なのか 大分県立芸術文化短期大学教授 植村 修一

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 何かトラブルや不祥事があって、その組織の関係者が開いた会見をみていてよく思うことがあります。なぜ、組織のトップがここにいないのか。トップとは、必ずしも文字通りではなく、案件に応じて、その組織を代表するにふさわしいと「外部からみられる」地位にある人物です。

記者会見に出てこないトップ

 2018年1月11日夜から12日にかけて、新潟県三条市のJR信越線で約450人が乗った電車が、大雪のため15時間以上立ち往生するトラブルがありました。JR東日本新潟支社は12日夜記者会見を開き、他の区間では日中に列車を運休して除雪作業をしていたが、現場近辺では行っていなかったとして、総務部長が謝罪しました。その当時の日本列島の大雪については、大分にいる私でも認識するぐらい、十分に警報が発せられたと思うのですが、除雪作業に限らず、緊急時の対応を含めて、もっとリスクの管理ができなかったのでしょうか。

 さらに、結果として起きたことの大きさを考えると、記者会見を総務部長でなく、その同席のもとで支社長が行ってしかるべきではなかったでしょうか(なお、1週間後の19日、実は三条市から乗客救出用にバス1台提供の申し出があったにもかかわらず断っていたとして謝罪する際には、支社長が会見を行いました)。

 同様な感想は、警察官の不祥事に関する会見で、県警本部長が姿を見せることがなかったときにも抱きます。

 一般論として、人間は誰しも前向きなことを考えたいわけで、企業でも、成長につながるような話や会議には熱心でも、リスク管理や不祥事対応のテーマになると、担当部署や担当者に任せがちになります。とくに(会社の成長か、自身の昇進かは別にして)成功体験がある経営者の場合、そのバイアスが強くなりがちです。

 しかし、市場の変化が激しく、「公器」としての企業に対するステークホルダーや一般社会の目が厳しくなっている現在、リスク管理は経営者にとっては避けて通れない問題です。事業や経営戦略とリスク管理は不即不離の関係であることを、あらためて認識していただきたいと思います。「公器」の色彩が強い組織であればなおさらそうです。

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