”社風”の正体

「トヨタの強さ」を企業文化から考えてみた 大分県立芸術文化短期大学教授 植村 修一

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 地元以外の人にとってイメージしにくい県名や地名があります。私の自宅は横浜市にあり、したがって私は神奈川県民ですが、どちらから来たのかと問われ、神奈川の名前を出すことはまずありません。横浜といえば、ああそうですかといわれるのに、わざわざ神奈川といって、はて神奈川ってどこだっけという顔をされるのが面倒だからです(一方で、横浜から来ましたという観光客に、よくよく聞いてみると、周辺の大和市や相模原市だったりするときがあり、正直、違和感を覚えます)。

モノづくり県「愛知」とトヨタの関係

 愛知県と名古屋市の関係も似たところがあります。愛知県といってピンとこない人も、名古屋と聞けばわかります(ちなみに、私の大学のある九州には、名古屋県という県が存在すると思っている人が少なからずいます)。

 愛知県のわかりにくさは、名古屋があまりにも有名だということに加えて、その成り立ちにも起因します。現在の愛知県には、昔、尾張(県の西部、名古屋市が存在)と三河(県の中部から東部、豊田市や豊橋市が存在)という2つの国がありました。歴史的には、織田信長が尾張の出身であるのに対し、徳川家康が三河の出身で、尾張が、熱田や津島の湊を擁し商業が盛んで、進取の気性に富んでいるのに対し、三河は、農業主体で気性は保守的と、歴史小説などに書かれています。

 しかし、事はそう単純ではなく、人口が集中した名古屋市の人(いわゆる名古屋人)の性格はより折衷的、すなわち、倹約に励み仕事は真面目で、デザインより実用性を重視する一方で、人目に触れるところは派手で、ブランド品を好み、結婚式にためらいなく大金を投ずるなど、複雑なところが特徴として描かれています(例えば、草思社『出身県でわかる人の性格』や文春新書『県民性の日本地図』など)。

 経済の面では、愛知県は、いうまでもなくトヨタ自動車を筆頭とする機械メーカーが集積する「モノづくり」の県です、この点は、勤勉で合理的な地元の人の気質が反映しているといわれます。

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