未来の働き方を大予測

AIが進化すると営業も「すき間労働化」する 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 その分、残業などほとんどせず、有給休暇は協定で定まった上限の年40日をフルに取得する。その資格で許容された仕事が技術革新で消失すると、職業訓練休暇をもらい、その間、失業給付で食いつなぎ、他資格を取得して、ほぼ同給与の別仕事にスライドする。そんなのんきでやる気のない生活をしている。

 フランスで見れば、エリートと呼ばれるカードル(年金種別が異なる)が労働人口の約15%。ここに書いた資格労働者が約50%。それ以下の無資格労働者が15%。そして、エリートではないホワイトカラー=中間的職務従事者が20%というグラデーションでできている。少なく見積もって65%(資格労働者+無資格労働者)、多く見積もれば85%(中間的職務労働者を加える)が、のんきで上を目指さない横滑り生活をしているのだ。

 誰にも管理職となれるチャンスがある日本は、その分、誰もが管理職を目指して四苦八苦の人生を送る。そんなことをしなくてもそこそこの給料がもらえ、たとえ首になっても、ちょっとだけ訓練を受ければ、他の会社・他の分野でまたそこそこ働ける社会へと移行していくのもよくはないか。何しろ、AI社会になれば、熟練やコツ、難易度の高いルールなどはAIに任せればいい。来日したばかりの外国人が銀座の名店なみのすしを供し、入社したての新卒者がMVP並みの営業をする。そんなストレスなく働き、ストレスなく新たな職に就ける社会をAIが作ってくれるのだと、前向きに受け入れるべきではないだろうか。

 そうして仕事でカタルシスを得るという現在日本人の常識的風習をあとはどうするか。これから30年間の間に起こる社会変化を楽しみながら、考えていくのはいかがだろう。

 変化は連続的に今からもう始まっているのだ。

海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。 その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の書籍を30冊以上上梓し、「雇用のカリスマ」と呼ばれている。近著は『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修

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