未来の働き方を大予測

AIが進化すると営業も「すき間労働化」する 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 私たちは、仕事に人生の多くをささげ、そして、そこから成長や達成などというお金以外の対価を得てきた。そうした構図が大きく狂う時代となる。

苦役信奉を捨て、すき間労働を受け入れる?

 正直にいえば、その時代でも、高度で上級な営業は残るだろう。売り上げの大きい一部顧客に対しては、ライバル企業が多々営業にやってくる。彼らも彼らでAIを駆使しているので、ハイレベルな戦いとなる。その状況下では、とてもご託宣にしたがっているだけでは売り上げなど立たない。そこで、AIのできないこと、AIの裏をかくことを考え、その実現のためにAIを使うという、難易度の高い営業が必要となる。ビジネス誌的な啓発記事であれば、「AIに使われない、AIを使いこなす営業となれ」となるのだろう。がしかし、私はそうした方向を首肯しない。

 今でも日本人は、やたらと苦役を美徳と考えがちだ。結果、「このままではだめだ」と何かしら苦役の方向へと踏み出すことを良しとする。ただ、この連載ではそうした行為こそ無駄になるのだ、という視点を基底においてきた。

 現在、格上の仕事と思われがちな士業=難関資格保有者が、案外AIの進化に弱い。匠といわれるすし職人や農作業従事者の技が無用なものとなる。スペシャリティーやそれを獲得するための苦役が無為無益に変わるという大きな時代の転換点に立っている。

 翻って欧米、とりわけ欧州人の生活を考えてみたい。日本で取り上げらえる欧州人の生活は、上位1%のスーパーエリートのそればかりだ。中位労働者がどのような生活をしているかはあまり語られない。彼らは、自分の保有する労働資格に縛られて、そこで許可される仕事しかできない。その結果、20代から50代まで年収はほぼ変わらず、職位も上がらない。要は昇給も昇進もないのだ。

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