未来の働き方を大予測

AIが進化すると営業も「すき間労働化」する 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 こんな風に相手を見て最適な対応をしているのだ。できない営業は、それこそ、誰に対しても同じようにバカ丁寧に製品説明をして、結果、二度と来るな!といわれる。だから、労働時間は長く、売り上げは低い。

 2040年代では、進化したAIがスマホなどに内蔵され、会話や視覚情報から、相手の嗜好なども的確に推測するようになっているだろう。そして、「このお客さんは大谷の話を」「この人は飲みに誘え」「こちらは社に帰って完璧な資料を作りもってこい」とスマホが指示を出す。そこで話を切り上げるから、今までのような、要らない商品説明の無駄打ち時間が減る。顧客に「帰ってくれ」と嫌われる可能性も減る。そして、社に戻れば、スマホから情報を受け取ったホストコンピュータが完璧な資料を用意し、さらには、「この通りに読めばいい」というシナリオまで付されている。

 このAIのご託宣にしたがい、資料を持ってシナリオ通りにプレゼンすれば、かなりの確率で受注につながるのだ。少なくとも、今までの無駄打ち商品説明型よりもはるかに確率は高い。

 結果、売り上げは伸びる。現在のMVP並みの数字が、いともたやすく上げられるようになるのだ。それも、大学を卒業して入社したばかりの若造が、だ。

 この図式は、どこかで見たことがあることに気づかないか。そう、前回の「回転すしで来日したての留学生が働き、銀座の名店並みのすしが供される」のとまったく同じだろう。つまり、この時代になると、営業職の「すき間労働化」が始まる。大学でたての新卒が、熟練MVPと同じような業績を残し、だから給与も現在とは比較にならないくらいに上がる。それでいて、無駄打ち商品説明などなくなるから、労働時間は削減される。顧客に「帰ってくれ」と怒鳴られることもないし、マーケティングデータを読み込んで企画書を作る必要もない。仕事の苦労はどんどんなくなり、収入は増える。ただし、習熟の楽しみ、成長や達成の喜びなども失う。

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