未来の働き方を大予測

AIが本当に仕事を奪うのは何年先か 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 その結果、今よりも給料は上がる、そして仕事は楽になる、という不思議な状態が現出される。製造・建設・サービス・流通など大量に人々が働く分野で、次々に、こうした「仕事は楽になり、サービス(提供商品)は高質になり、さらに給与は上がる」という現象が起きだすのだ。今までのように、習熟の対価として親方にどやされたりもしなくなる。労働環境も相当改善されるだろう。いや、ことによると、第一次産業でもそれは起こるかもしれない。たとえば、農作物の成熟度合・収穫期は、現在だと熟練の作業者が目と手と鼻で確かめて、一つ一つもぎ取っていた。そうしたものは、センサー搭載のAIで置き換えられ、一介のアルバイターが、迷いなく短時間に収穫をするようになる、といった感じだ。

 それは同時に働くということを考えさせもする。たとえば、今、すし職人を志す若者は、どやされながら苦行に耐える。そうして、「握る」「捌く」などの高度熟練業務を長年かけて習熟し、結果、給料を上げ、そして、独立をも果たす。そう、苦しさの対価として、様々なカタルシスがもたらされる。そうして人生の長い時間の帳尻を合わせていくのだ。ところが、すき間労働が浸透すれば、そうした苦役は発生せず、仕事は楽だ、給与は高い、その代わり成長や充実感はない、という社会になる。

 製造・建設・サービス・流通業からそうした「すき間労働社会」が早々に始まり出す。

海老原 嗣生(えびはら・つぐお)
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。 その後、リクルートワークス研究所にて雑誌Works編集長。2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。雇用・キャリア・人事関連の書籍を30冊以上上梓し、「雇用のカリスマ」と呼ばれている。近著は『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)。

キーワード:経営、企画、人事、経理、営業、技術、製造、学生、経営層、管理職、プレーヤー、働き方改革、マーケティング、人材、研修

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