未来の働き方を大予測

AIが本当に仕事を奪うのは何年先か 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 ところが、銀座の職人の「握り」と「捌き」をAI化し、その二工程のみメカトロをくっつけると、回転寿司は名店並みの味に進化する。そして、人間は残りの「誰でもできる些末な仕事」のみを担当することになる。たとえば、ネタを冷蔵庫からだし、それのパッケージを破り、魚の皮を剥ぎ、ネタを湯や氷水にさらし、バーナーであぶり、ツメ(甘タレ)を塗り、というタスクだ。

 こうしたはすっ端な仕事ばかりを人がこなす様を私は「すき間労働」と呼ぶ。それは、誰にでもできる簡単な作業だろう。日本に来たばかりですしなど食べたこともない留学生でも、入店一週間もすれば問題なくこなしてくれる。だから店舗は、未熟練労働者ばかりでも運営可能となっていく。

楽して、しかも高給。それが「すき間労働社会」

 それでいて、コア業務は「銀座の職人」並みの出来栄えだから、それこそ、従来の回転すしとは一線を画し、通もうならせる逸品が提供可能となる。当然、顧客数は増えるし、単価も上げられるだろう。だから店は大儲けが可能となる。さて、この時に店は、労働者の時給を下げるだろうか? それは「否」だ。少なくとも少子高齢化で労働人口が減少し、もう、絶望的なまでに人手不足な流通サービス業にあって、コア業務(実質的には店舗労働の1割程度)しか削減できない中で、求人募集条件を下げるとは思われない。むしろ、大儲けの原資をもとに、採用条件を上げて人材獲得競争を勝とうとするだろう。

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