未来の働き方を大予測

AIが本当に仕事を奪うのは何年先か 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 あとは物理的作業を担うメカトロニクスだが、こちらも予想以上に進歩が速い。2030年代には、人間のように一台で様々な作業ができる機構・素材が開発されるという。こうした高度な機構・素材と全脳アーキテクチャー型AIを合わせれば、単純労働を担うロボットが完成する。このころから、製造・建設・サービス・流通業では雇用崩壊が起きるだろう。幸いなことに日本は、2040年前後に第二次ベビーブーム世代が労働市場から退出する。それに歩調を合わせる形でAIが進化すると、労働減少を良い形で補完してくれるはずだ。

2040年代に爆発的なスピードで労働の機械代替が進む

 ちなみに、この全脳アーキテクチャー型AIロボットは、発売当初、数十億円という高額なものとなるだろう。そして普及と技術開発で値下げが起こる。価格がどのくらいになると雇用代替が起きるか? それは意外にも1台5000万円程度だという。

 一般的な製造・建設スタッフの年収は400万円前後。5000万円もすると元をとるのに12~13年もかかる。これでは導入ができないと思われがちだが、実際は異なる。機械は人と違って24時間稼働可能だ。だから1台で3人分の労働を代替できる。また、作業休日はメンテナンスために、年15日もあれば十分だろう。それを織り込むと、1台で4人分の労働だ。さらに、製造設備も労働スペースも3人分は不要となり、1台分ですむ。

 そのうえ、24時間稼働のため、従来なら「納期に間に合わない」と断っていた直前発注も受注可能になり、機会損失が減少する。こう考えると1台で5人分程度の働き(コスト減も含む)となる。年収換算の対価でいえば2000万円ほどだろう。とすると、導入費の5000万円はすぐにもとがとれる。だからこの機械は、大して値下がりしなくとも、早々に普及するといわれる。たぶん、登場から10年以内に世を席捲するだろう。

熟練の技は機械が担い、人は単純簡単なタスクのみに

 とはいえ、それは今から30年近く先の話だ。それまでの間、製造・建設・サービス・流通業の仕事は安泰だろうか?

 そこを推し量るには「すき間労働社会」というパラダイムが重要になってくるのでその説明をしておこう。

 過去の回で説明したが、現在の単純作業は、7~10のこまごまとしたタスクから成り立つ。その全部をAI・機械化するのは現状では採算がとれない。そこで、企業としては、投資効果が見合うような「コア業務」の一つか二つのみにAI・機械化を進めるだろう。たとえば回転すしであれば、すしを握る、ネタを捌く(切る)という肝の部分だけAI化する。従来のすしロボットが握るシャリは、どのネタでも一様の大きさ・硬さだ。捌きの方は自動化できず、勤続年数の長いバイトが行っている。だから、銀座の名店のような味わいが引き出せなかった。

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