未来の働き方を大予測

AIが本当に仕事を奪うのは何年先か 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

家庭教師なしで自ら学習するディープラーニングという革命的技術

 連載一回目では、製造・建設・サービス・流通業は、AIの進化でもそう簡単に仕事はなくならないと書いた。その時に少し触れたが、AIが進化して「全能アーキテクチャー型」に代わると、こうした仕事も、完全に機械代替されていくことになる。それは、2040~50年ころの話だろう。この進化過程について、少し詳しく説明をする。

 現在のAIは特化型AIといい、一つの仕事に特化して、どんどん習熟を遂げていく類のものだ。その土台にはディープラーニングという技術がある。それは、コンピューターにたくさんの情報を与えると、AIがその中から特徴やルールを見出して、自分で学習していくという仕組みだ。たくさんの画像を見せているうちに、「これは猫」「これは犬」と自動的に覚えていく。それ以前は、「ひげが生えていて、丸みを帯びた体つきで、黒目が大小に変化し、ニャーと鳴く」という特徴を人間が機械に教えなければ猫と判断できなかった。それがディープラーニングにより、情報をたくさん見せる・聞かせるだけで、「この一群は同じ特徴がある。これは猫なのだろう」と機械がわかるようになる。これだと、人間はAIに多々情報を与えるだけで手間をかけずに育てることができる。いや実際にはネット上をクローリングさせるだけでいいから、情報さえ与えなくていい。こんな仕組みにより、AIは長足の進歩を遂げつつあるのだ。

全脳アーキテクチャーという次段階。疑似脳が多彩な作業を成し遂げる

 ただし、それは一つのことに特化したAIであり、複数の機能は包含しづらい。ところが、もう少しAIが進歩すると、特定機能だけではなく、汎用的に多彩なことができるようになる。その第一段階が全脳アーキテクチャー型AIだ。これは、人間の脳みその構造を模したAIといえばいいだろう。脳は言語野・視覚野など多数のモジュールにより構成されている。そのモジュールごとに機能を再現させて、それを統合して人間の脳と同じ作業ができるようにするというアプローチが、全脳アーキテクチャー型AIだ。

 ただし、各モジュールには、まだ見えていない機能も多々あり、また、モジュール間の干渉もある。そのため、全脳アーキテクチャー型では完璧な脳機能は再現できない。だから、この「疑似脳」は感動もしないし、創意工夫もできないし、ホスピタリティーも持ち合わせない。そうした本当に人間らしい行為は苦手ではあるが、「多彩で細切れな仕事」くらいは十分にこなす。だから一台のAI で、製造・建設・サービス・流通業の仕事は代替できるだろう。

新着記事

もっと見る
loading

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。