未来の働き方を大予測

AIの進化で、真っ先に淘汰される「意外な職業」 雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生

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 さて、ここまでに示した仕事は、その多くが「スペシャリスト」と呼ばれ、目の前の情報と、複雑難解なルールを照らし合わせ、熟練の勘を交えて、最適な判断をしていくという作業となる。それこそが、今の特化型AIは得意なのだ。

 ただ、だからといって、騒ぐような雇用崩壊には至らない。まず、こうしたスペシャリスト業務の雇用は今でもそんなに多くはない。それらは、建設・製造・サービス・流通業などの大量就労職と比すれば、ホンの少数だと容易にわかるだろう。

 次に、スペシャリスト業務の中でも、「残る人」はけっこう多い。ここにも言及しておく。

 たとえば、自動車運転関連について考えてみよう。今、再配達問題などが高じて世間ではつらい仕事と目されている「配送員」は、残る。理由は簡単だ。自動車運転業務がAIで自動化できても、配送には物理的な業務が付随する。それがドローンにより空中戦に代わるという不連続な進化はここではおいておく。そうではない従来の配送であれば、物理的作業が不随するために、AIでは置き換えられない。一方で、長距離トラックドライバーはなくなる。こちらには積み下ろしなどの物理的作業が発生しないからだ。しかも、高速道路という自動化に適した環境での走行が業務の大半を占める。とすると、集配拠点から高速道の入り口まで人的に運転し、あとはAIによる自動運転で業務員は大幅に少なくなるだろう。大型免許という難関資格を取得して、一番儲かる花形仕事と呼ばれている長距離トラックの方が、配送員よりも将来が暗い。なかなかのパラドックスといえるだろう。

泥臭い実務をこなす人は淘汰されにくい

 経理などでも、各国のルールにのっとり監査をするという国際会計業務などが、案外、将来は暗い。確かに複雑で難易度が高いルールを熟知しているのは、現時点ではすごいことだが、AI的にそれは容易に代替できる。一方で、現場の決算作業を取り仕切るリーダーはどうだろう。規模の大きい企業であれば決算は多人数での流れ作業となる。途中で音を上げる人を鼓舞し、体調を崩して休んだ人の穴を埋め、帳票提出の遅い営業部に文句を言い、脱税とも思われかねない取引先の決済ルールに変更をお願いし……。こうした物理的作業や対人折衝が山ほど発生する。だからAI代替はできない。

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