石澤卓志の「新・都市論」

五輪後の不動産市況に「強気でいられる理由」 みずほ証券 上級研究員 石澤 卓志氏

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 2018年に東京23区で完成する大規模オフィスビルは、前年から倍増する見込みである。このため空室が増加するとの予想が多かったが、実際はほとんどのビルが、満室または高稼働率を達成できそうだ。急成長している企業が、賃料が比較的高額なビルに入居する一方で、老舗企業がコストを抑えつつグループ企業を集約するなど、多様な移転事例が出ている。このような動きを背景に賃貸条件も多様化したため、不動産関係者も市況の実態を把握しきれていないようだ。

東京都心部のオフィス空室率は10年振りの低水準

 森ビルの調査によれば、2018年(暦年)に東京23区で供給される大規模ビル(延床面積1万平方メートル以上)は146万平方メートルに達し、前年(2017年)の69万平方メートルから、ほぼ倍増する見込みである。ビル供給量の予測値は、調査機関や調査方法によって差があるが、2018年の供給量が前年よりも大幅に増加する点は、どの調査結果でも一致している。

 オフィスビルは、着工から竣工までの工事期間に平均で3年程度かかり、大規模ビルともなれば、計画から完成までに5~8年程度の時間が必要となる。大型の開発事業は、自治体との折衝や周辺対策の必要上、比較的早い段階で計画が公表されることが多いため、ビル供給量の予測は比較的容易と言える。2018年にビル供給量が増加することも数年前から判明しており、不動産関係者には、ビルが供給過剰となって市況が悪化するとの見方が強かった。しかし、大方の予想に反して、現在もオフィスビル市場は好調を維持しており、「2018年問題」を懸念する声は、ほとんど聞かれなくなった。

 オフィスビル仲介大手の三鬼(みき)商事の調査によれば、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィス空室率は3月末に3%を切り、4月末時点で2.65%となった。この空室率が2%台となったのは、2008年3月末以来10年振りである。都心5区の主要ビル2,585棟のうち、空室があるものの比率は20.97%にすぎず、こちらもおよそ10年振りの低水準である。また、都心5区のオフィス賃料(坪当たり・月額)は19,896円と、52ヵ月連続の上昇を記録し、この期間の上昇率は年率4.85%となった。

 2018年に完成するビルのテナント募集も好調で、4月までに竣工したビルの平均稼働率は94%に達し、未竣工のビルも33%が既に満室状態となった(日経不動産マーケット情報調べ)。

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