テクノロジーインパクト2030 Picks

賃貸契約、ホテル予約のように簡単に 積水ハウス 上田和巳IT業務部部長に聞く

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 日経ビジネススクール(日本経済新聞社、日経BP社)では、新事業や経営を担う次世代リーダー向けに、テクノロジーが引き起こす社会や産業の大変革を予測し、それを乗り切る羅針盤となる戦略を伝授する「テクノロジーインパクト2030ブロックチェーン編」を2018年6月11日(月)に開講します。本稿では登壇する講師に、ブロックチェーンをビジネスに活用する上でのキーポイントを聞きます。

 昨今、旅行の宿泊場所を確保するのはかなり楽になった。スマートフォンを使い、いつでもどこでも予約できる。だが、賃貸物件の確保はそうはならず、まだまだ手間と時間がかかる。スマホやパソコンで所望の物件を手軽に見つけられるようになったものの、契約するにはいくつかの書面提出が必要、かつ審査にも日単位で時間がかかるのは20世紀のままだ。だが、賃貸物件でもホテルを予約するかのように、スマホのアプリで契約が結べるときが間もなくやってきそうだ。契約期間も年単位にとどまらず、週単位や日単位でフレキシブルに選べる可能性すらある。実現の鍵を握るのが、ブロックチェーンである。ブロックチェーンを活用する不動産管理システムの2018年導入を予定する積水ハウスにおいて、システムの構築に携わるIT業務部部長の上田和巳氏に、ブロックチェーン活用の利点などを聞いた。

■不動産会社に来店なしで手続き可能

――ブロックチェーンを活用した不動産情報管理システムを導入する狙いを教えてください。

 大きく2つあります。1つは、賃貸契約の簡素化です。現在、物件を見つけてから賃貸契約に至るまで時間と手間がかかります。部屋を借りるとき、お客様はまず希望する物件を見つけると、物件を管理する不動産会社の店舗を訪れると思います。そして、希望の物件を内覧し、気に入れば店舗で賃貸の仮申し込みをして、審査を待ちます。審査が通れば再度店頭に赴き契約書を記入し、やっと本契約が完了するといった手順を踏みます。こうした一連のフローに要する手間や期間を、ブロックチェーンを使って大幅に短縮・簡素化するのが狙いです。最終的には物件情報の入手から賃貸契約までスマートフォンのアプリだけで手続きできるようにしたいと考えています。将来的には、一度も来店せずに賃貸契約するといったことも可能になるでしょう。

 もう1つは、物件に住んでいただいている利用者に向けた、様々な情報提供を行うための基盤としての活用です。ブロックチェーン上には賃貸契約するお客様の情報や物件情報などの情報がたまっていくので、それらを活用してお客様の利便性や満足度の向上を図ります。利用者がブロックチェーン上にある自分自身に関わる情報や物件情報にアクセスできる環境を作っていきます。これまでは社内にあるデータベースを使って、利用者向けの会員サイトを展開してきました。利用者はこのサイトから当社のデータベースにある限られた情報にアクセスが可能でしたが、ブロックチェーンを活用した不動産情報管理システムでは、もっと多くの情報を簡単かつ安全に利用できるようになります。これら2つの狙いはいずれも、“入居者ファースト”を第一に考えたものです。

――利用者は、どのような情報を確認できるのですか。

 まだ開発途中なので詳細なことは言えないのですが、入居者アプリからいろいろな情報を確認できたり、生活に関連するサービスを契約したりといったことを可能にしたいと考えています。例えば、入居者が手元のスマホを使って入居者アプリを開いたとき、いつどのように入金したかといった入居者自身の入金履歴や建物の仕様・改修履歴などが確認できるようにしたいと思っています。ブロックチェーンと連携している情報であれば、順次追加していくことが可能です。将来的には、賃貸物件に入居するにあたって発生する他の契約、例えばガスや電気、保険などの契約や履歴を登録、確認できるようにできればと考えています。

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