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日立が本気のSDGs、社会課題起点のイノベーション目指す 慶応大学大学院特任教授/横田アソシエイツ代表取締役 横田浩一

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 具体的には洋上発電所向けの大型風力発電システムだ。これは風力発電システム1基に付き、4837tのCO2排出量削減を実現したものだ。また洋上風力発電を推進するにあたり、地元の方との漁業権の問題など、多くの海関係のステークホルダーとのかかわりをもつことで「14、海の豊かさを守ろう」というテーマにも係わってくることになる。

このように目標としたテーマに関してそれぞれ「世界でおきていること」「日立がめざす姿」「日立の取り組み」「事業事例」についてまとめているのだ。

専門部署を設置、SDGs推進

 SDGsの推進体制としては、サスティナビリティ推進本部が担っており、企画部、CSR部、環境部、ディスクロージャー推進部から構成される。ディスクロージャー推進部はサスティナビリティに関するディスクロージャーを担当する新設部署で、IRは広報・IR部が担当している。

 サスティナビリティ推進本部企画部の増田典生部長は「次の中期経営計画は2019年から始まる。目的としては社会課題、ESGを起点に事業のありようを考え、中計に組み込んでいきたい。事業が創出する価値を経済価値だけで測るのではなく、いわゆるトリプルボトムラインで言うところの、社会価値・環境価値でも検討し、定量化できるところはできるだけ定量化して企業価値増大を目指していきたい」と語る。

 企業にとっては、事業機会には当然リスクもある。そして、社会の変化による自社事業に対する機会とリスクは通常考えるが、自社の事業が社会に与えるリスクは、軽んじられることが多い。それをしっかり考えることで、よりサスティナブルな事業にしていくことができるのだ。

社会イノベーションを積極化

 そもそも日立製作所の歴史は創業者の小平浪平による「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念がある。そして日立製作所が「社会イノベーション」といい始めたのは2010年頃だ。2000年代後半からの川村改革のあと、そのあとを継いだ中西宏明会長が事業を整理、統合していった過程の中で、「社会イノベーション」を標ぼうし、結果として社会課題を解決する事業が残ったという。

 この社会イノベーション事業を積極的に推進、また、製品やサービスの提供を通じて、多くの人々の「Quality of Life」向上への貢献を目指す一方で、近年は製品やサービスを通じて生み出される価値が社会にどのように受け入れられ、どのようなインパクト(影響)を与えているのかを考えることが企業に求められてきている。

 もちろん、社会課題を解決する事業は時間がかかり、事業部としてすぐ儲かるということは多くないかもしれない。社会課題解決には、政府や自治体、コミュニティなどステークホルダーが多く存在する。課題をもとに多くのステークホルダーの共通価値を醸成してそれからそれを解決するモデルを考えてアクションを起こす。時間がかかるし、難易度も高いだろう。しかし、難しいから同業他社はなかなか参入せず、その市場はブルーオーシャンだと考えることもできる。「社会イノベーション」を経営視点で見れば、明後日の飯のタネを考えるということだ。

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