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日立が本気のSDGs、社会課題起点のイノベーション目指す 慶応大学大学院特任教授/横田アソシエイツ代表取締役 横田浩一

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 SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境、社会、企業統治)にどのように取り組んでいったらいいか悩んでいる企業は多いのではないか。日立製作所は、いち早くSDGsに取り組んでいる企業の一つだ。このケースを紹介しSDGsに対して企業が果たすべき役割を考える。

長期ビジョン議論の会議体立ち上げ

 日立製作所は東原敏昭社長のリーダーシップにより、2017年4月にサスティナビリティ戦略会議をはじめて実施した。参加者は経営会議のメンバーに加え、各ビジネスユニットのCEO事業部門のCEO約40名だ。SDGsの考え方では、2030年のありたい姿を考え、そこからのバックキャスティングを行いアクションプランを考える。日立製作所において、3年の中期経営計画はあるが、それ以上全社における長期の経営計画はなく、このような長期のビジョンについて社内において議論をする場はなかったため、その会議体を設置しサスティナビリティについて考え、決定していくことがこの会議の目的だ。第1回会議では、SDGsの目標達成に貢献するための施策や推進体制などについて議論された。

 その会議を受けて、事業戦略とSDGsの整理を約1年かけて行った。サスティナビリティ会議の下部組織として、各事業部の企画部長クラスからなるサスティナビリティ推進委員会が実行部隊となり、SDGsで解決すべき問題とされている169項目について、すべての部門、主要会社のメインの事業について、それぞれ文章でコメントをもらった。内容は、SDGsのどの項目を解決する事業か、そして自社の事業が社会に与える機会とリスク、また社会の変化による自社事業に対する機会とリスクについてである。

目標を計11個に絞り込み

 このような整理をし、毎年欧州で開催されているサスティナビリティダイヤログに参加している社外のメンバーの意見を聞いた。このような行程を経て、日立製作所としてSDGsの17の目標のうち、企業活動全体で貢献する目標6個およびヘルスケアや水ビジネス、風力発電など事業戦略で貢献する目標5つの合計11個に絞った。

 企業活動全体で貢献する目標は「4、質の高い教育をみんなに」「5、ジェンダー平等を実現しよう」「8、働きがいも経済成長も」「12、つくる責任、つかう責任」「13、気候変動に具体的な対策を」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」だ。事業戦略で貢献する目標として「3、すべての人に健康と福祉を」「6、安全な水とトイレを世界中に」「7、エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「9、産業と技術革新の基盤をつくろう」「11、住み続けられるまちづくりを」に決められた。

 例えば「7、エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を解決するため、持続可能な社会を支えるエネルギー事業を通して貢献することをテーマに挙げた。まず「世界でおきていること」について、世界中で10憶人の人々が電気を利用できていないという現実、および供給されるエネルギーの多くはCO2排出量の多い炭素資源によるものであり、労働力への依存度が高いのが現状であるという課題認識を行った。それに対し、「日立がめざす姿」として再生可能エネルギーを安定的かつ効率的に供給することが、より豊かで持続可能な未来をつくる上で重要なことであるとだとまとめた。そして「日立の取り組み」としては、大型の風力発電システムなどによる再生可能エネルギーの割合拡大を目指す。

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