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SDGs、中小企業・地方に商機と言えるワケ 慶応大学大学院特任教授/横田アソシエイツ代表取締役 横田浩一

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 国連が旗振り役になり、世界規模で社会のあらゆる課題解決を目指すSDGs――。目標が壮大なだけに、一見、国や大企業に求められる「行動規範」に写り、中小企業や地方にとっては無縁な話と受け止められかねないが、そうではない。むしろ中小企業やベンチャー、地方にとってこそ成長のチャンスだ。

会宝産業、ブラジルで自動車リサイクル

 実際、社会課題を解決するビジネスの代表格である環境分野などで中小企業が商機を広げ、優秀な人材獲得にもつなげているケースが目立つ。例えば自動車リサイクル業の会宝産業(金沢市)。2022年までにブラジルで年間10万台の使用済み自動車を環境に優しい手法でリサイクルをするバリューチェーンを構築することを目標に掲げ、地元のガレージや修理店を含む既存のリサイクルビジネスの拡大と1万5,000人のエンジニアの養成など現地の雇用創出に貢献する計画を進めている。こうした事業がビジネスと持続可能な開発を両立する取り組みであることが評価され、中小企業として初めて「ビジネス行動要請(BCtA)」に認証された。

 BCtAとは、国連が提唱する世界の貧困削減や環境保全、雇用創出といった「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成を促進することを目的に、企業・政府・開発援助機関が参加するグローバルな取り組みのことで、厳密な審査プロセスを通じて承認を受けた企業のみが参加できる会員ネットワーク。パナソニック、住友化学などの大手企業が名を連ねており、会宝産業は11社目になる。

 SDGsは「社会に役立ちたい」という意識の高い人も呼び込む。会宝産業(金沢市)に転職した鈴木大詩さん(30)は大学時代にBOP(貧困)ビジネスに興味をもち海外に飛び出した経験を持つ。「ボランティアでは限界がありビジネスを通して活動しないと地元の雇用にも貢献できない」と考えていたところ、途上国で品質の高い中古車を扱い評判の高かった会宝産業が目にとまり、人材募集もしていないのに入社したいと扉をたたいた。途上国に直接貢献できている実感をもつことができ、「今の仕事に大変満足している」という。

 山口未夏さん(23)も「アフリカへ行きたい」という熱い想いを抱いて同社に入社した。 夢の実現に向けてひたむきに業務に取り組み、国際協力機構(JICA)の民間連携ボランティア制度で2年間ガーナに滞在した体験記を「ガーナは今日も平和です」のタイトルで出版した。

 近藤典彦会長は「以前は中小企業の自動車解体屋では優秀な若者は採用できなかった。今は当社の事業が持続可能な社会に貢献していることが認知され、途上国に興味のある優秀な若者を採用できるようになった」と語る。

「バイオマス炭化装置」の明和工業、アフリカで事業化視野

 明和工業(金沢市)もSDGsを意識したビジネスに取り組む中小企業だ。「バイオマス炭化装置」を開発・製造・販売しており、多様なバイオマスの炭化処理実績や販売台数は世界でもトップクラスを誇る。 材料となる汚泥や生ゴミ、畜糞などの「ウエット(湿った)バイオマス」を乾燥させた後に燃焼させて炭にし、肥料として再生させる。2016年夏に第6回アフリカ開発会議がケニアのナイロビで開催された際、会場でブースを構えた同社の前には説明を求める行列ができたという。「会議に参加していたアフリカ諸国の高官が200人ぐらい聞きに来た。今でも問い合わせがある」(北野滋社長)。

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