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70歳までにがんになる確率は? 50代で増える病気とけが 70歳定年時代の健康管理(上) 健康企業代表・亀田高志

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 本サイトの連載「誤解だらけの健康管理術」で「何歳まで働けますか? 75歳定年時代を生き抜くために」というテーマで寄稿してから3年余りがたちました。その折に加齢現象の個人差、加齢で衰える身体機能、セルフケアとしての運動習慣を解説しました。

 昭和から平成の初めであれば「60歳で定年」が普通だったでしょうが、今や50代を迎えて役職定年や、還暦間近では継続雇用制度の再雇用が想定される状況にあって、何歳まで働くかということは切実な課題です。この10年ほどは「65歳まで」だったのが、この4月に施行された改正高年齢者雇用安定法により「70歳まで」が標準に変わっていきます。来年4月から年金の受給開始時期がさらに繰り下げられ、75歳まで働く選択肢も視野に入ってきます。これらの理由が少子化に対する年金等の社会保険制度の維持であるのは言を俟(ま)たないですが、令和時代の高齢者は昭和と比べて心身の機能が改善しているという背景もあります。

 この3年間で厚生労働省の施策は着々と展開されているものの、加齢に伴うけがや病気の頻度が増える中、働く人と会社側の双方による高齢化に対する本格的な対応が遅れていることに目を向ける必要があると考えます。

 擦り傷程度では済まない転倒災害

 50代以降では、ちょっとした段差につまずいた時に次の足が出なかったり、手が出なかったり、体幹が反応できなければ転倒するリスクが大きくなります。滑りやすい床では後ろにひっくり返り、後頭部をぶつけて大けがをする人も増えます。工場だけでなくオフィスの中でもしばしば労災事故となり、健康に大きな影響を及ぼしますが、そのリスクは在宅勤務を中心とするテレワーク中でも同様です。

 中高年以上で転倒すると子供時代と違って擦り傷程度では済まないことが多いのです。置いてある荷物に引っ掛かることや階段の踏み外しも関係があります。転ぶまいと踏ん張った瞬間にギックリ腰を起こすケース、反射的に手をつき手首や腕を骨折するケースもあります。女性で骨粗しょう症の傾向があると股関節に近い大腿骨の骨折を起こす可能性もあります。同種の問題として、荷物を取ろうとして脚立の上から墜落して床に叩きつけられ、頚椎骨折等を起こして命を落とすことさえあります。

 厚生労働省の労災事故の統計によると、休業4日以上ないし死亡を伴う転倒災害の年間千人あたりの発生率(千人率)は次の図のようになります。こうした指標になじみのない方でも、年間千分の1前後かそれ以上のリスクには注意が必要です。男性の20代後半と比べて50代~60代後半では約3倍から4倍に、女性では実に9倍強から16倍に増加します。

 

 一番の課題はけがをする瞬間まで、意識的にせよ、無意識にせよ、そのようなことは起きないだろう、起きないはずだと働く人と職場の両方が考えていて、そのダメージを想定すらしていないことだと感じます。骨折等のけがの場合、高年齢になるほど休業見込み期間が1カ月からさらに長期に及ぶ傾向があり、仕事と日常には休業後も簡単に復帰できないこともしばしばです。

 

 

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