日経SDGsフェス

多様性で社会を変革 格差の現状に取り組む(2) 「ジェンダーギャップ会議」 パネルディスカッション・「女性が活躍する会社」ほか

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 日本経済新聞社と日経BPはイベント「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト『ジェンダーギャップ会議』~経営に求められる多様性と情報開示~」(後援・内閣府)を5月13日に開催した。「日経SDGsフェス」の一環で、会場の丸ビルホールとオンラインの聴講を組み合わせた。ダイバーシティー&インクルージョン(D&I=多様性と包摂)の推進は福利厚生ではなく、経営戦略だとの認識が共有された。事業環境が激変する先行き不透明な今こそ、多様性が変革を生み出す原動力になるという。

日本経済新聞社と日経BPは2022年5月9日~14日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する世界規模イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

※2022年5月13日のプログラム「日経SDGsフェス 日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト『ジェンダーギャップ会議』~経営に求められる多様性と情報開示~」から、パネルディスカッションほかをダイジェスト版でご紹介します。

 パネルディスカッション 男性育休、業績にも利点

日興アセットマネジメント 代表取締役社長 ステファニー・ドゥルーズ 氏

NPO法人ファザーリング・ジャパン理事  東レ経営研究所 チーフコンサルタント 塚越  学 氏

● コーディネーター 日経xwoman 編集委員(肩書は登壇時) 羽生 祥子

 羽生 男性育児休業と女性の育成と役員登用について聞きたい。

 塚越 男性育休義務化は企業側の推進と措置義務だ。妊娠・出産を届け出た労働者に対し企業側が個別に制度を周知し意向を確認しなければならない。管理職がアップデートできていないとコンプライアンス違反になってしまう。男性新入社員の8割が育休を取りたいというデータもある。まだまだ働き方改革が必要で、管理職にはダイバーシティーマネジメントが求められる。

 ドゥルーズ 同感だ。日本には素晴らしい制度があるが、十分な人数が使っていない。政策、制度だけでは不十分で、トップダウンで政策をつくったら、ボトムアップで企業の中で政策制度を活用できる環境づくりが必要だ。そのボトムアップのサポートが不足している。金融業界も例外ではない。

 塚越 育休で男性が休んだら困るというが、女性が休んでも困らないのなら女性活躍推進法への対応不足だ。人手不足だからそんな余裕はないという企業は働き方改革がうまくいっていない。誰が休んでも職場が回る環境にして、働く場所や時間の柔軟性を上げていくべきだ。

 羽生 金融業界や証券の運用業界では女性のトップが少ないが、業界の女性活躍は。

 ドゥルーズ まだ本来あるべき段階に到達していない。機関投資家として企業のD&Iを評価する立場の運用業界が「お手本」になれていない状況。特に投資運用部門では女性が少ない。仕事と家庭との両立を受け入れにくいカルチャーで、それこそが資産運用業界の女性の進出を阻んでいる。

 羽生 ファンドマネジャーのチームでは男女混合の方が男性だけよりも結果が良かったという話もあった。

 ドゥルーズ 女性が含まれるなどダイバーシティーに優れたチームの方がパフォーマンスが良かったという調査結果がある。運用のリターンとリスクの管理という観点において、ダイバーシティーはとても重要だ。

 羽生 どう人材育成するのか。

 ドゥルーズ 目標設定が重要なので、グループ全体の女性の管理職比率を2030年までに30%にする。共感のある社内文化を築くために社内教育を実施し、男性の育休取得を促進する。取締役や管理職に女性は必要で、彼女たちが仕事できるように会社も支援しなければならない。多様な部署に女性が入るよう組織全体に浸透させたい。

 塚越 ジェンダー平等はゴールのすべてを実現するための手段だ。どの企業がどのゴールを掲げようが、その実現にはジェンダー平等が必要だ。男性育休は社会を変えるためのボウリングの1番ピンだ。その後ろに女性活躍、ジェンダー平等、児童虐待など、社会的な問題があるのではないか。ストライクを取るために1番ピンを倒さなければいけない。

 

◇    ◇     ◇

 日経WOMAN「女性が活躍する会社BEST100」2022

資生堂 代表取締役 常務 鈴木 ゆかり氏

日経WOMAN発行人 佐藤 珠希

日経WOMAN編集長 藤川 明日香

 女性活躍推進、ワークライフバランスや多様性を指標とする「女性が活躍する会社ベスト100」。20回目となる今回の上位には女性管理職の階層別育成プログラムを実施している企業や、オンライン業務など働き方改革を進める企業が目立った。1位に輝いた資生堂の鈴木ゆかり氏が登壇し、「日経ウーマン」佐藤珠希発行人と藤川明日香編集長の質問に答えた。

 資生堂の国内管理職に占める女性比率は1月時点で37・3%。最終的には50%を目指す。魚谷雅彦社長を塾長として2017年から始めた女性リーダー育成塾、ライフイベントや自己成長とキャリア形成に悩む女性社員に対して、女性役員がこれまでの自身の経験をもとに対話するトークセッションなどの施策を披露した。雇用形態はジョブ型で成果を重視し、自由に働く時間を選べる。働き方の自由度と生産性の高さを両立した。

 鈴木氏は「単に女性が辞めなくていいというだけでなく真の活躍を目指している。本来、人はそれぞれみな違い、多様なはず。リーダー像もその人らしさを生かした多様なものであっていい」と強調した。日本の大企業が1種類の属性の人だけで開いてきた会議も、本来は男女、年代、国籍など多様な視点が入り、様々な角度の意見がぶつかり合うことに意味があるという。「多様性は成長戦略だ。どの会社も悩んでいるが、一緒に取り組んで日本社会全体に貢献していきたい」と語り、大企業の取り組みと経営者のコミットメントの重要性を訴えた。

 

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。