日経SDGsフェス

多様性で社会を変革 格差の現状に取り組む(1) 「ジェンダーギャップ会議」 特別メッセージ・講演

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 日本経済新聞社と日経BPはイベント「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト『ジェンダーギャップ会議』~経営に求められる多様性と情報開示~」(後援・内閣府)を5月13日に開催した。「日経SDGsフェス」の一環で、会場の丸ビルホールとオンラインの聴講を組み合わせた。ダイバーシティー&インクルージョン(D&I=多様性と包摂)の推進は福利厚生ではなく、経営戦略だとの認識が共有された。事業環境が激変する先行き不透明な今こそ、多様性が変革を生み出す原動力になるという。

日本経済新聞社と日経BPは2022年5月9日~14日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する世界規模イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

※2022年5月13日のプログラム「日経SDGsフェス 日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト『ジェンダーギャップ会議』~経営に求められる多様性と情報開示~」から、特別メッセージと講演をダイジェスト版でご紹介します。

 特別メッセージ ジェンダー平等、政策で優先

 アイスランド首相 カトリン・ヤコブスドッティル 氏

 アイスランド政府は、ジェンダー平等の実現を優先事項と位置付けている。男女の賃金格差はまだ解消されていないが、この数年で縮小した。賃金格差が残っているのは、労働市場にジェンダー格差があるためだ。介護職など長い間過小評価されてきた重要な仕事に従事する人々に、公正な報酬が与えられるよう変えていかなければならない。

 ジェンダー平等には広範な意味があり、ジェンダーに基づく暴力に対する対策など、女性や子どもの安全の担保も含まれる。政府は特別プログラムを導入し、性的暴行犯罪が増加しないようあらゆる手段を講じる。また、夫婦ともに取得できる手厚い育児休業と、質の高い保育や就学前教育の提供という2つの重要な取り組みを推進している。

 ジェンダー平等は常に検討すべき課題であり、政策立案のプロセスで考慮されるべきだ。そうすれば、すべての人々が利益を享受できる完全に平等な社会が実現できるだろう。

 

◇     ◇     ◇

 講演 差別解消に包括アプローチ

 駐日アイスランド大使 ステファン・ホイクル・ヨハネソン 氏

 アイスランドは世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で、長年連続で1位を獲得した。昔から男女平等だったのではなく、1975年に女性たちの一斉ストライキが行われ、その後も5回行われた。

 1980年には、世界初の民主的に選ばれた女性大統領が誕生。さらに、1983年に男性主体だった国会で女性だけの政党が結成され、強力なパイオニアとなった。2016年議会選挙では女性議員の割合は48%となり、政治におけるジェンダーパリティーが実現できた。

 主要政策として、手の届くコストで誰にでも提供される質の高い児童福祉が充実しており、2歳児の95%は保育園に通っている。育児休業は夫婦それぞれ6カ月取得でき、さらに6週間が共有可能。父親が自分の分を消化しなければその期間の休む権利が消滅する。男性の育休取得率が上がり、制度的な女性への差別を解消できた。

 また、法律が改正され、上場企業は役員の男女比を6対4にすることが義務付けられた。企業に同一賃金についての証明を義務づける法律も施行されている。

 アイスランドは多くを成就してきたが、いまだ道半ばだ。差別は性別、人種、社会階級などさまざまな要素が絡み合っているので、すべてを網羅できる包括的なアプローチが必要となる。転換点は過ぎた。今はジェンダー平等をどう実現すべきかを議論する段階だ。

 

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