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転職に役立つ後悔の心理学 反実的仮想思考・メタ認知 上市秀雄・筑波大准教授に聞く

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 「面接でああ答えておけば」「前の会社に残っていた方が良かった」。就職活動や転職活動では誰でも後悔の念に襲われる瞬間がありそうだ。それでもネガティブな感情に支配され続けるより、ポジティブに上を向いた方が、ビジネスパーソンとしてプラスに働くだろう。実際、「後悔から得た教訓を生かしてこそ現在の自分がある」と後日、納得できるケースも少なくない。心理学が専門の上市秀雄・筑波大学准教授に就活・転職に役立つ「後悔活用メソッド」を聞いた。

 最悪の中から最善の道を選ぶ

 ――就活・転職に限らずビジネスパーソンの1日は、ミーティングの段取りから昼食の選択まで後悔の連続です。

 「強く後悔し続けるタイプの人は生活満足度が低く、体調不良など健康状態が良くなく、抑うつ傾向にもなりやすいというデータもあります。いつまでも心に残る後悔は低減・解消する必要があります」

 「心理学の一分野である『後悔理論』では、何らかの行動をしたために生じた状況と、それ以前の状態を比較し、行動しなければ良かったとするネガティブな感情を指します。後悔は1種類ではありません。結果への後悔と『こうしておけば良かった』と思うプロセスに対する後悔があります。実際の結果に対する過去展望の後悔や、想像上の結果に対する未来展望の後悔もあります。あえて言えば、アカデミックな研究対象となる後悔の種類は無数にあります」

 ――後悔に対する心理学の成果を就活や転職に生かせませんか。

 「まず役立つと思われるのは『予期後悔』。将来生じるかもしれない後悔を想像・予想する個々人のメンタルシミュレーションのことです。人は予期後悔が最も小さくなるような選択肢を選ぶ傾向があります。最悪の中から最善の道を選ぼうとし、ゲーム理論における合理的選択基準のひとつであるミニマックス法(自分に生じる損失を最小にするような選択)に近いといえます」

 「予期後悔の能力が高い人は、悪い状況への変化にも『熟考した結果の選択であるからやむを得ない』と考える傾向があります。後悔の少ない幸福度の高い精神状態が一般的に可能です。最悪に備えても、ある程度準備しており、将来どのようなことが生じても自分は適切に対処できるとの『安心感』にもつなげています」

 

 

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