SDGsでは目標1「貧困をなくそう(NO POVERTY)」から目標17「パートナーシップで目標を達成しよう(PARTNERSHIPS FOR THE GOALS)」まで、17の目標が設定されています。
政府が掲げる、2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル(炭素中立)の達成とかかわる「気候変動に具体的な対策を(CLIMATE ACTION)」は目標13、プラスチックごみ問題ともかかわる「海の豊かさを守ろう(LIFE BELOW WATER)」は目標14など実に広範な目標が設定されています。
「働きがいも経済成長も」 企業の取り組み目立つ
なかでも、目標8「働きがいも経済成長も(DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH)」は企業規模を問わず、取り組む企業が多いようです。
独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が22年3月に発表した「中小企業の SDGs 推進に関する実態調査」によると、この目標は「自社において貢献しようとしている目標」(複数回答)のトップ3に入りました。
一方、経団連が20年10月に発表した「第2回企業行動憲章に関するアンケート調査」でも、組織運営(主として社内的な取り組み)で取り組んでいるSDGsの目標として、「重点的に取り組んでいる」または「取り組んでいる」と答えた割合が82%と8割を超えてトップに。
この経団連調査によると、目標5「ジェンダー平等を実現しよう(GENDER EQUALITY)」も組織運営で「重点的に取り組んでいる」または「取り組んでいる」と答えた割合が80%に達し、目標8「働きがいも経済成長も」に続きました。今回はこの2つに注目して、関連する英語の表現をご紹介したいと思います。
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“decent work” に注目
まず最初に、目標8「働きがいも経済成長も(DECENT WORK AND ECONOMIC GROWTH)」の“decent work” に注目したいと思います。「働きがい」と訳されていますが、そもそも英語ではどんな言葉なのでしょうか。
decent は「適切な」「まともな」という意味で、社会的基準で見て、「妥当であるか」ということを表します。例えば日常会話で、
“I think Mike is a decent guy.”
といえば「マイクは良識のある男性だ」という意味になり、「非常識ではない」ということを表します。また、部屋に入る前に、
“Are you decent?”
と言ったとします。このフレーズは、直訳的には「そのまま外に出ても恥ずかしくない身なりをしていますか」と尋ねる決まり文句です。従って、この場面であれば「(ドアを開けた私に)見られても恥ずかしくない格好ですか」と尋ねていることになります。
では、本題の“decent work” となると、どんなニュアンスになるでしょうか。英語のネイティブスピーカーにも確認した結果をお伝えします。実はこの言葉は
「働く機会と十分な収入の確保、労働における公正な権利の確保」
といった意味を含みます。仕事は単なる「労働」ではなく、人間としての生活や尊厳を守るものでなければいけないという考え方です。
それでは、ビジネスの現場で、この表現がどんな風に使われることがあるのか、みていきましょう。
(和訳:Decent work とは、「働きがいのある人間らしい仕事」のことです)
refers to … 〜という humane 人道的な
(和訳:当社でも”decent work”を意識して、雇用制度を見直すことになりました)
aware of… 〜を意識する rethink 見直す