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10のキーワードから占う2022年 経済予測書籍を読む

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 2022年を迎え、日本経済は新型コロナウイルス感染と向き合っての3年目に突入した。新型コロナの流行が年内にも収束するとの予想はあるものの、経済を取り巻く環境には不透明な部分が多い。一方で次の成長の柱として期待できそうな産業の芽も出てきている。各シンクタンクなどが経済動向を予想した書籍などから10のキーワードで今年の日本経済を占ってみた。

 【コロナ下の景気】

 『これからの日本の論点2022 日経大予測』(日本経済新聞社編、日本経済新聞出版)はコロナ禍で抑え込まれていたサービス分野などで立ち上がる「ぺントアップ需要」を期待する。しかしそれには①感染拡大の阻止②膨張した金融の正常化③成長戦略の見直し――という3つの課題を乗り越える必要があると説く。アフターコロナの時代に向け企業・産業の新陳代謝、地方銀行の再編、雇用の流動化などが欠かせないとしている。

 『経済がわかる論点50 2022』(みずほリサーチ&テクノロジーズ、東洋経済新報社)も日本の実質国内総生産(GDP)が22年にはコロナ禍前の水準まで回復すると読む。ただコロナウイルス感染症の検査体制の拡充、ワクチンのブースターショット(追加接種)、ワクチン接種証明の国内活用などが前提だ。そうでない場合は22~23年にかけて緊急事態宣言が4回発令されることもありうると分析している。

 『2022年 日本はこうなる』(三菱UFJリサーチ&コンサルティング編、東洋経済新報社)は、景気は緩やかな回復ペースにとどまるとしている。これまでのような「デフレ脱却・円高阻止」の政策では成長力は回復せず、必要なのは研究開発分野への集中的な投資でコロナ禍のピンチをチャンスに変えることだと説く。

 『この一冊でわかる世界経済の新常識2022』(熊谷亮丸監修・大和総研編著、日経BP)はコロナ禍で生じた在宅需要や、外食が減少する中での飲料・食品の「プチ贅沢(ぜいたく)志向」はアフターコロナ時代でも再び起きる可能性が高いと指摘する。少子高齢化による消費構造の変化が前倒しで進展した側面もあるという。こうした変化に対応することが、10年後を見据えた企業の成長性、持続可能性を高めることにつながるとしている。

 【米中対立】

 『日経大予測』は対立激化の根本的な原因を、習近平政権の長期化傾向にあるとみる。「戦狼外交」と呼ぶ強硬な対外姿勢を示し、目標とする軍事・経済両面で米国に並ぶことが実現すれば、台湾への武力侵攻が現実味を帯びる。ただ5年以内の米中戦争は考えにくいともシミュレーションしている。それでも中国が台湾に対して行う①軍事的圧力②サイバー攻撃や分断工作――は日本にも影響が大きいとしている。

 【デジタル通貨】

 『日本はこうなる』はデジタル人民元発行を目指す中国が、主要都市でさまざまな実証実験を進めていることを指摘する。しかし顧客インターフェース開発やウォレット提供、本人確認まで中央銀行が手掛けるのは現実的でなく、民間主導での環境整備が欠かせない。デジタル通貨の普及は、非接触ビジネスの普及だけでなく、イノベーション喚起にも有効だとしている。導入に慎重だった日本でも、22年には用途ごとの実験を通じ、デジタル通貨のもたらすイノベーションやDX(デジタルトランスフォーメーション)促進が具体化してくると予想する。

 【脱炭素化】

 欧州発の脱炭素化の潮流は22年も加速しそうだ。『世界経済の新常識』はグリーン政策が道路投資といった非グリーン政策よりも雇用創出効果が高いことを指摘。日本でも30年に約870万人、50年に約1800万人の雇用効果が見込まれていることを紹介している。ただ求められるスキルが高度化するので①労働者のスキル向上②縮小する産業から成長産業への円滑な労働者の移動――を実現する必要があるという。このため新しいセクターを立ち上げ訓練・再教育を提供することが重要だとしている。

 【米国経済】

 『経済がわかる 論点50』では、米国経済は22年も拡大を続けるという。その上でコロナ禍の「新常態(ニューノーマル)」が定着するかどうかを探る1年になると読む。具体的にはリモートワーク化・オンライン化で労働生産性や消費動向がどうなるかだ。米バイデン政権は新型コロナ対策と、気候変動対応の構造改革という二兎(と)を追い「大きな政府」を目指す。その実現には11月の中間選挙がカギを握るとしている。

 

 

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