SDGs

中小企業こそ大きいSDGs効果 社内の課題解決から 職場のSDGs研究所 白井旬代表(上)

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 SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みでは日本の場合、大手企業の動きが目立ちやすい。しかし、法人数の大半を占める中小企業が動かなければ実現は難しい。中小企業向けにSDGsとの向き合い方を指南する「職場のSDGs研究所」(那覇市)の白井旬代表は「中小企業にこそ取り組むメリットが大きい」と発想の転換を促す。著書『経営戦略としてのSDGs・ESG』(合同出版)を手引きに、中小企業が進めやすいSDGs経営のポイントを聞いた。

 「大企業のミッション」という思い込み

 国連の研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が発表した2022年のSDGsの達成度で日本は19位と21年から1つランクを落とした。「ジェンダー平等を実現しよう」や「つくる責任、つかう責任」などの目標が未達成と評価された点が響いたようだ。国レベルの達成度を高めていくには、中小企業の果たす役割が大きい。しかし、「目先の経営課題に追われて、SDGsにまで手が回らない現実がある。中小企業の多くにとって、SDGsはまだ『自分事(ごと)』になっていない」と白井氏はみる。

 ただ、「実は中小企業側の勘違いも多い」と指摘する。例えば、「SDGsは大企業のミッション」という思い込みだ。メディアでは大手企業が主語になりやすいこともあってか、「絵空事のようにとらえる中小企業経営者は少なくない」という。だが、個人事業主を含む中小企業は従業員数で68.8%を占める(16年の経済センサス活動調査による)。国全体のSDGsの達成度合いを左右するのは大手ではなく中小企業の方だ。

 中小企業がSDGsに腰が引けているのは、「余計なコストがかかるという思い込みが最大の理由」(白井氏)。新型コロナウイルス禍やコスト高騰などが重なって、経営環境が一段と苦しくなる中、「目先の売り上げや利益に直結するわけではないSDGsに追加のコストを許す余裕はない」と中小企業経営者は考えがちだ。しかし、白井氏は「コストをかけない取り組みから始めればいい」とゼロコストでのSDGsを勧める。

 機材を買ったり、原材料を変えたりすれば、追加のコストが発生しがちだ。だが、「社内の仕組みを変えるのであれば、あまり費用はかからない。決め事だけで済むなら、コストゼロも可能。それでいてSDGs的な効果は小さくない」と白井氏は「社内SDGs」のアプローチを提案する。SDGsの目標の第8には「働きがいも経済成長も」が掲げられている。従業員の幸福度を高めるのは立派なSDGs的行動といえる。

 例えば、テレワークの活用は従業員にとってメリットがわかりやすい。子育て中の働き手が時間の融通をきかせやすいのに加え、通勤の負担が減り、健康管理にも役立つ。「自己管理が必要となるテレワークの活用は自走・自律型社員を育てることにつながる。『自宅でサボっているのではないか』といった過剰に管理的な意識で臨むべきではない」と、白井氏はSDGsを追い風に働き手のモチベーションとスキルをダブルで高めるチームづくりを勧める。

 

 

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