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夫婦間は「異文化交流」 コロナ下こそ関係改善を   健康企業代表・医師 亀田 高志

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 新型コロナウイルス感染症のオミクロン変異型による流行拡大によって外出を控えたり、在宅勤務が継続したりすることで、夫婦で過ごす時間が増えています。2年に及ぶコロナ禍でパートナーと暮らす方々は次のいずれかの感想を持たれているのではないでしょうか。

 ① ますます、仲むつまじくなった

 ② 以前と比べて、それほど違いはない

 ③ 互いの関係が(以前にも増して)悪くなった

 良い:中程度:悪い=2:6:2の法則

 こうした調査は国民全体や偏りなくサンプリングされた働く人達の調査でもしない限り、正確な割合は算出し難いのですが、職場の健康管理でご相談を受けてきた経験では、おのおの20%、60%、20%という感じであろうと考えています。組織改革の際に「前向き:中立:後ろ向き」の違いや個人業績を評価すると「良い:中程度:悪い」と分布する2:6:2の法則と変わりないと想像します。

 新型コロナに感染したり、濃厚接触者とされたりして、強いストレスを夫婦だけでなく子供とも経験する方もいるでしょう。外出自粛という日常の変化と働き方や仕事の仕方の変化はそれ自体もストレス要因になります。ストレス要因による影響は医学的に感情面(心理面)、身体面、行動面に現れます。その影響も「良い:中立:悪い」で分かれて、同じく2:6:2と考えてよいように思います。

 このうち、夫婦仲が悪くなった場合には既に別居から離婚にまで至った人もいるかもしれません。夫婦仲は仕事や職場とは無関係で、非常に個人的な問題に見えることでしょう。けれども70歳まで働くこととその後の健康や幸福を考えた場合に軽視できない課題です。

 不信感・嫌悪感の根底に家事・育児の不公平感

 コロナ禍で夫婦仲が悪くなったという場合には、いくつかの理由があると思われます。

 まず、新型コロナの流行前からの不信感や嫌悪感がコロナ禍で顕在化するケースで、例えば根っこにあるのが家事や育児の負担の不公平感です。

 研修を依頼された職場の担当者の女性から、ある日、体調不良で早退し、臥床(がしょう)していた際に夫からいきなり「俺のご飯は?」と聞かれて、ぼうぜんとした、というお話を聞いたことがあります。その嘆きには、自身の体調や辛さを心配してもらえないことや、同じ職場で働く夫が全く家事をしないこと、やがて高齢になった後に共に暮らすことができるのか、という不安までにじんでいました。

 日ごろ、多忙ですれ違いが多いようなら、互いに嫌だと思うところに目をつぶり、やり過ごすことができるかもしれません。けれども、在宅勤務で外出しないとなると、目を背けることができませんから、いずれ感情をぶつけ合うことになるでしょう。

 またコロナ禍の夫婦のいさかいの背景には価値観や考え方の違いもあります。先の2:6:2の法則通りに、感染の危険の感じやすさや感染防止対策の徹底ぶりも敏感と鈍感、その中間といった形で分かれます。妻の側は職場の事情で感染を絶対にしてはならないと考えているのに、夫は職場の雰囲気も手伝って飲み歩くなど危機感がない場合には、互いの利益が相反するかのように大げんかになったりします。そのあげくに夫に感染が確認されたり、濃厚接触者であると特定されたりすると、妻の側は「だから言わんこっちゃない!」と憤り、夫は「俺の命や健康より自分の事情優先か!」と怒り、相互不信は決定的になります。

 

 

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