ビジネスに効く 伝わる文章術

読み手と書き手のギャップを意識して書こう 白鳥 和生

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 1文は100字以内

 最初の基本は「1文に入れる要素は1つに絞る」ということ。結果として、「1文は60~100字以内に収める」ことにつながります。

 文意を明確にするには、1つの文で1つの要素を述べるのが原則です。一文は60~100文字以内でまとめ、要素が増えたら文を分けます。

 その際、4~5行で改行をしたり、接続詞をうまく活用したりすれば、話の展開が簡潔でわかりやすくなります。

 1文を1要素にする工夫は主語と述語を近づけることです。これによって文章のねじれもなくなります。

 長い文では複数の主語や述語が交錯し、互いが噛み合わない〝ねじれ文〟が生じる場合があります。

 例えば「我が社の経営理念は、顧客第一主義を貫き日本一の売上高を上げたい」という文章。主語の「経営理念は」と述語の「日本一の売上高を上げたい」がつながっていません。述語が動詞になっているのが問題です。

 この場合、「我が社の経営理念は、日本一の売上高を目指して顧客第一主義を貫くことです」、あるいは「我が社の経営理念は、顧客第一主義を貫き日本一の売上高を目指すことです」と、主語を名詞の述語で受けるのが正しいでしょう。

 要素を整理して短い文に分解すると、対応すべき主語と述語の距離が近づきます。文意がしっかり通って読みやすくなります。

 次の「例文」を比べてみましょう。

<例文1>
 バブル経済崩壊後、百貨店業界は、高額商品の需要が減るなど消費の減退に直面すると同時に、ニトリやユニクロといったSPA(製造小売り)の台頭、郊外のショッピングモールの出店増加があり、地方店の相次ぐ閉鎖を余儀なくされるなど、市場規模はピーク(1991年)の半分以下に落ち込んだ。
<例文2>
 バブル経済崩壊後、百貨店市場は大きく縮小した。高額商品の需要が減る一方で、ニトリやユニクロといったSPA(製造小売り)の台頭、郊外にショッピングモールが出店増加したためだ。この結果、地方店の相次ぐ閉鎖に追い込まれ、市場規模はピーク(1991年)の半分以下に落ち込んだ。

 また、2通りの意味に解釈できてしまう文章も避けなければなりません。

 例えば「日本企業の多くは、脱炭素技術を欧米企業のように活用していない」。 

 この文章は、「欧米企業は脱炭素技術を活用している」と「欧米企業は脱炭素技術を活用していない」のどちらの解釈も可能です。

 「~のように…ない」というパターンは曖昧な表現の代表的なものです。

 「日本企業だけが活用していない」ということを表現したければ、「~と違って」「~とは対照的に」などを使います。「日本企業の多くは、脱炭素技術を欧米企業と違って活用していない」といった具合です。より簡単に直すなら、「~のように」に対比を表す「は」を加えて「~のようには」とすれば、「~と違って」の意味になります(「欧米企業のようには活用していない」)。

 一方、「日本企業も欧米企業も活用していない」と言いたいのなら、「~のように」の代わりに「~と同じく」を入れるとよいでしょう(「日本企業の多くは、脱炭素技術を欧米企業と同じく活用していない」)。

 

 

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