日経SDGsフォーラム

水に生かされ、水を生かす 「当たり前」の大切さに気づく

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水と安全は〝ただ〟と言われたニッポン。「水の都」をうたう観光地も多い。一衣帯水、立て板に水、明鏡止水、魚心あれば水心あり、のように水にまつわるいくつもの言葉もある。あまりに日常的な風景だけに、その大切さに気がついていないのが水の存在。人間の体の約6割を水分が占めるのに。そろそろ真剣に水と向き合わないと未来をつくれない。背水の陣で臨む覚悟が必要だ。

 豊かな恵みの源 自然と響き合う

 水不足などによって日常生活で不自由を感じることを指す「水ストレス」。国連の報告書によれば全世界で20億人以上が水ストレスにさらされている。今後も人口増加、異常気象による干ばつ、工業化などによって淡水の需要は高まり、このままだと2050年には必要量の4割も不足し、50億人が十分に確保できない状況に陥ると見られている。

 二酸化炭素(CO2)のように、技術革新と世界的な関心の高さからニュートラル(排出量と吸収量を均衡させること)の取り組みが加速しているが、水はまだ明確な答えが見いだせていない。そればかりか、使った以上につくり出さないことには水ストレスからも解放されないのが現実だが、残念ながら関心が薄い。

 水は自然資本だ。雨が山に降り注ぎ、染み込む。そこから地中での長い旅が始まる。水は地中で育まれ、ミネラルをたくさん含んだおいしい地下水が再び地上に湧き出るまでに何十年もかかることもある。おいしい水は森林と山を保つことで、新たなエネルギーを使うことなく再び生まれてくる。森林と山を深く知ることが豊かな恵みをもたらしてくれるのだ。

 サントリーホールディングスは自治体などと組みグループの国内工場周辺の森林、山林、流域をくまなく調べ、地下水の流動を科学的に把握。さらにはより水源涵養(かんよう)力が高まるように森林再生にも乗り出している。グループ国内工場でくみ上げる地下水量の2倍以上にする活動を2003年から始め、当初予定の20年より1年前倒しで達成した。

 こうした地道な活動により、国内で唯一、水資源の保全・管理に関するAWSウォーター・スチュワードシップ国際規格を3つの工場で認証されている。水に生かされ、水を生かすサントリーには水の循環を知り、水を大切に使い、水源を守り、地域社会と共に取り組むという水理念の思想がある。

 SDGsの17ある目標の中で水に関するのは6番しかないが、ほかの目標も突き詰めていくと水の存在無くしては成り立たないものが大半だ。それだけ水は命と未来と平和に欠かせない。

 「CO2は減らす。H2Oは増やす」。地球から「やってみなはれ」と私たちは背中を押されている。

 (編集委員 田中陽)

水をつくりだせ 我が社がインフルエンサー

経済成長と地球環境。ややもするとトレードオフ(一得一失)の関係になりがちですが、これをトレードオンの関係にすることが大切です。サントリーの生業は「水」で成り立っていますから、成長をもたらしてくれた水を積極的に「お返しする」ことで、トレードオンにもっていこうとしています。

社会に未来永劫(えいごう)受け入れられるように、環境対策も含めた我々のビジネスの形を日々、チェックし対応することが求められています。約10年前まではサントリーは日本の会社でしたが、今は世界120カ国・地域以上で展開するグローバルな会社になりました。社会の定義も日本から世界に変わるのは当然です。

生活に直結し、健康を守るために欠くことのできないのが水です。その水が世界的に不足することを、サントリーがインフルエンサー、アンバサダーとして先頭に立ち、防ぐ行動を起こします。既に水を涵養するための科学的な知見が研究機関や自治体、NPOなどとともに蓄積され、水を自然からより多くつくることで水への関心を高めないといけません。

「陰徳あれば陽報あり(人に知られずひそかに善行をしていればよい報いが受けられること)」のことわざがありますが、これからは陽徳によって社会を喚起することも必要です。ちなみに陽徳には万物を育成させる宇宙の徳の意味もあり、サントリーの水理念にもつながります。

世界に向けて、社会との約束と位置付ける「水と生きる」を発信、実践していきます。ウエルビーイングな社会のためにも自然資本としての水の大切さを伝えるだけでなく、水を増やすことにも全力を挙げて取り組みます。

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