日経SDGsフェス

スマート林業確立へ DXで生産性向上(3) 日経SDGsフォーラム特別シンポジウム「森林、木材の利活用で実現する脱炭素社会」 パネルディスカッション

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 5月9日、日経SDGsフォーラム特別シンポジウム「森林、木材の利活用で実現する脱炭素社会」(会場は東京・千代田区の日経ホール)がリアル&オンラインのハイブリッド形式で開催された。昨年、政府が打ち出した2050年温暖化ガス排出量実質ゼロ宣言以降、脱炭素への流れが加速する中、社会的共通資本としての森林の役割が改めて注目されている。森林と木材の利活用について、産官学の代表者が議論を深めた。

日本経済新聞社と日経BPは2022年5月9日~14日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する世界規模イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

※2022年5月9日のプログラム「日経SDGsフェス 日経SDGsフォーラム特別シンポジウム『森林、木材の利活用で実現する脱炭素社会』」から、パネルディスカッションをダイジェスト版でご紹介します。

 パネルディスカッション データで木材サプライチェーン支援

●パネリスト
西川 淳也氏 三井物産 サステナビリティ経営推進部 グローバル環境室長
バダヴァモヴァ・ザリナ氏 イオン環境財団
代島 裕世氏 サラヤ 取締役コミュニケーション本部 本部長
太田 望洋氏 アジア航測 森林・農業ソリューション技術部部長

●コーディネーター
藤田 香 日経ESG シニアエディター 兼 東北大学大学院 生命科学研究科 教授

 藤田 企業の森林保全の取り組みについては、ESG投資の観点からも注目をしており、スコアリングに反映する動きも見られる。

 (以下、敬称略)

 レーザー計測を駆使

 太田 当社は、空間情報を基に、森林の価値を高めるコンサルティングを行っている。具体的には、まず航空写真の撮影やレーザー計測によって森林の基盤情報を収集する。基盤情報とはどのようなタイプの樹木がどこにどれぐらい分布しているのか、森林資源として見た場合の本数や樹高、材積はどれくらいか、そのような森林がどのような立地にあるのかなどだ。これらを地形や道路アクセス情報とあわせて整備する。

 そのうえで、この林業ビッグデータの管理ツールを提供するとともに、情報を活用した計画の検討・立案も支援している。たとえば、ある地域における土地条件や社会的条件を踏まえ、木材生産林として育てるのか、あるいは環境保全を重視する林とするのかなどの解析を行っている。

 加えて、森林行政を支援する台帳管理システムや、木材サプライチェーンを支援するシステムも提供している。これらをリンクさせて森林情報を共有活用することで、地域の森林の有用な活用が可能になる。

 こうした林業のDXにより、生産性向上や流通の効率化が図れ、収益性も確保できるようになる。林業だけでなく、地方の活性化にもつながるだろう。

 藤田 持続可能な森林経営を行うための留意点は何か。

 西川 「当たり前の適切な森づくり」を継続すること。当社では、人工林、天然林、生物多様性保護林などのように、特徴ごとに山林を分類し、それぞれに合った最適な施業・管理を行っている。74山林を数千に細かく分類し、森林のポートフォリオを意識した経営・管理を実行中だ。

 そういった当たり前のことを継続するために、経済面の改善にも不断に取り組む。ただし、造林や育林で手を抜いたり、現場で働く方々の待遇を下げたりといった誤ったコスト削減は行わない。それでは森林の多様な機能が損なわれ、組織も持続できなくなる。実現すべきコスト削減は、たとえばDX活用による効率操業などの攻めのコスト改善だ。あわせて収益面では、特別講演で紹介した総合商社ならではの多様なアプローチで収益を増やし、事業全体での持続可能性を高めている。

 これらの戦略を実現するために一番重要なことは、林業に携わる人材を雇用・育成すること。安全で、快適で、魅力ある職場環境づくりが大切であり、そこには経営者として絶対に手を抜かない。

 

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