日経SDGsフェス

スマート林業確立へ DXで生産性向上(1) 日経SDGsフォーラム特別シンポジウム「森林、木材の利活用で実現する脱炭素社会」 基調講演

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 5月9日、日経SDGsフォーラム特別シンポジウム「森林、木材の利活用で実現する脱炭素社会」(会場は東京・千代田区の日経ホール)がリアル&オンラインのハイブリッド形式で開催された。昨年、政府が打ち出した2050年温暖化ガス排出量実質ゼロ宣言以降、脱炭素への流れが加速する中、社会的共通資本としての森林の役割が改めて注目されている。森林と木材の利活用について、産官学の代表者が議論を深めた。

日本経済新聞社と日経BPは2022年5月9日~14日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する世界規模イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

※2022年5月9日のプログラム「日経SDGsフェス 日経SDGsフォーラム特別シンポジウム『森林、木材の利活用で実現する脱炭素社会』」から、東京大学未来ビジョン研究センター教授の高村ゆかり氏、林野庁長官の天羽 隆氏、more trees事務局長の水谷伸吉氏の各氏による基調講演をダイジェスト版でご紹介します。

 基調講演 脱炭素へ価値を増す森林と木材

 高村 ゆかり氏 東京大学未来ビジョン研究センター 教授

 気候変動対策への取り組みが加速している。世界平均気温の上昇を1.5度に抑えるために、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラル(ネットゼロ)実現の必要性が、国際的に共有されている。この動きに合わせ、森林減少や土地劣化を30年までにやめる取り組みも進む。国内外の金融機関や投資家もカーボンニュートラルの動きに参加。ネットゼロへの取り組みが投資の判断材料となりつつある。

 日本においても気候変動政策が次々と打ち出されている。その一つが「グリーン成長戦略」。カーボンニュートラルに向けて変わる社会と市場の変化に対応し、産業の次世代化、構造転換を引き起こすことが狙いだ。14の重点分野の中に農林水産業も含まれる。

 企業の気候変動対応を評価して投融資する金融機関や投資家の動きが目立つ。企業の気候変動関連情報開示の強化や法定化の動きも進む。気候変動を含むサステナビリティー情報開示の国際基準の統合化の進行と同時に、森林や水など自然資本に関する情報開示についても指針化の作業が進んでおり、23年にも公表される見込みだ。既に多くの企業がパリ協定と整合的な目標を掲げており、ここ1年で中小企業の参加も大きく増えた。

 脱炭素社会の実現にあたり、改めて重要性が認識されているのが森林や木材の活用だ。温室効果ガス排出の削減を進めるとともに、バイオ経済と森林吸収源を促進することが不可欠である。日本には国有林、公有林はもちろん、民間企業が所有する森林も多くあり、こうした森林をいかに持続可能に利用・保全していくかは大きな課題だ。

 国内だけでなく、世界に視野を広げることも必要だ。利用する木材がどこから来たのか、どのように伐採されていて、現地の生態系に影響を与えているのか。企業には自社のサプライチェーン全体に目配りした対応が求められるようになった。こうした取り組みを評価し後押しする政策と制度も必要となる。

 

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