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温暖化ガス削減、カギ握る再生エネ パリ協定は新たな商機~スタートアップ編

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地球平均気温の上昇を産業革命前に比べ1.5度以下に抑えようという「パリ協定」の目標達成へ向け、世界が大きく動く。カギを握るのは太陽光や風力など再生可能エネルギーの利用拡大だ。日本は適地が少なく不利だと言われるが工夫の余地はある。知恵と技術を結集し、新たな商機につなげる挑戦が始まった。

 太陽光の拡大へ 知恵と技術結集

 日本は温暖化ガスの排出量を2030年度に、年度比で46%減らし、さらに50%減の高みを目指す目標を掲げる。米欧と比べても遜色のない思い切った目標であるとして、国際的にも評価されている。

 日本の二酸化炭素(CO2)排出の約9割はエネルギー起源だ。目標を達成するには、電化を進めるとともに、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入拡大が欠かせない。

 現状では、電源構成の約76%を化石燃料が占める。これを30年度に約41%に減らし、再生エネを現状の倍の36~38%に増やすことをめざす。安定供給の問題や立地が限られるなどの制約から非現実的だとの指摘もある。

 政策の見直しもある。政府は個人や発電事業者が再生エネでつくった電力を、高値で買い取る固定価格買い取り制度(FIT)を実施してきた。22年度から、市場価格に一定額を上乗せして補助する新制度(FIP)に切り替える。

 事業者は正確な発電計画を立てて市場で売電する必要があり、ビジネスモデルの転換を迫られる。そこに新たな商機を見いだそうとの思いが、afterFIT(アフターフィット)の社名に表れている。                         

 「できない」理由を探すよりも知恵を絞り、足りない技術は自ら開発する。新たな発電場所がないなら既存の建物を使う。太陽光パネル搭載の「ソーラーカーポート」を店の駐車場に無料で設置し、電気料金を受け取る「コーポレートPPA」事業などに力を入れる。

 日射量計や雲カメラを設置し、衛星の雲データなども使いながら発電量の変動を予測する技術も導入した。太陽光は不安定電源であるという欠点を発電量予測で補い、需給調整に生かす。太陽光パネルの維持管理にはドローンをフル活用する。

 こうした技術に磨きをかけるため、研究所を設置した。博士課程修了者2人を含む17人が専従となり、大学との共同研究にも力を入れる。考えるだけでなく、即実践する行動力は大手にはなかなかまねができない。

 今後、計画している北海道での風力発電や、電気を本州に送る海底ケーブルの敷設には大型の投資を伴う。競争も激しくなるなかで収益力を確保し、十分な資金を確保できるかが課題だ。

 リスクをとって他に先んじてニーズを発掘し、斬新なサービスを生み出し続けられるか。ユーザーや投資家の支持をどこまで広げられるか。ここからが踏ん張りどころだ。

 (編集委員 安藤淳)

海底ケーブルや電力融通、大胆な発想で勝負

石炭や石油など化石燃料への依存からの卒業をめざす「グリーン革命」が、世界で本格化しています。米国のバイデン政権の誕生が流れを決定づけました。100年後の教科書に、2021年はグリーン革命元年だったと記載されるでしょう。

背景にあるのは国民の怒りです。各国の政府や企業はそれに押されて動いていますが、スピードには差があります。欧米や中国はビジネスチャンスと捉えて一気に動こうとしているのに対し日本はゆっくりしており、国際競争に勝てるか心配です。

日本で再生可能エネルギーの利用を大幅に増やすうえで、北海道がとても重要です。太陽光パネルを並べられる広い土地や、風力発電に適した強風の吹きやすい場所があるからです。本州への送電容量を増やすため、当社は海底ケーブルを計画しています。地権者との交渉に時間も費用もかかる陸上ケーブルよりも、安く簡単に敷設できます。

太陽光や風力は不安定電源だと言われます。確かにそうですが、技術によって変動を予測して需給調整すれば、実質的に安定電源のように使えます。我々はリアルタイムの高精度な日射量予測に挑戦しており、電力市場で他の電源と十分に勝負できる力があります。

再生エネルギーは実は地産地消に向きません。太陽光発電は日中発電量が多く、夜間はゼロになるという時間変化が避けられません。でも、東西の地域間の時差を利用して国を越えて電力を補いあえば、問題解決が可能です。

たとえば九州、インドネシア、ベトナム間で電力を融通しあうといった方法が考えられます。光ファイバーで情報通信網を張り巡らすのと同じことを、電力でもすればよいのです。ベンチャー企業には、大手電力会社にはない大胆な発想ができます。

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