どこでもオフィスの時代

パソナJOB HUB 地方企業と複業人材つなぐ みつめる旅

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 その人の「意外な一面」が発揮される複業型ワーケーション

 「旅するように働く」をテーマにした「JOB HUB LOCAL」と「JOB HUB WORKATION」には、これまでに150社からのべ約2000人(フリーランスを含む)が参加しています。例えば、JOB HUB LOCALで、岩手県のお餅メーカーで複業をした東京の大手IT企業勤務の男性の場合。最初は期間限定の「お手伝い」だったのが、社長の濃いキャラクターと熱い想いに共感して意気投合、結局会社に直談判し複業として長期でしっかりコミットできる体制を自ら作り上げたそうです。

彼のような例は頻繁にあります。特に大組織の中で働いていると、『顔が見える小さな関係性の中で仕事をする』『強烈なビジョンを持った熱量のあるリーダーの下で働く』という体験は失われがちです。でも、旅先で複業にチャレンジすると、そうした体験ができる可能性はかなり高い。それも都市部のビジネスパーソンが参加する大きな魅力の一つだと思います。
ワーケーションプログラムに参加を決めた都市部の企業の方からよく寄せられる感想が、『こんな社員がいたんだ!』という声です。複業型のワーケーションを通じて、普段オフィスにいるときには見られないその人の意外な一面が現れ、本当は『こんなに行動力のある人だったんだ』『こんなに情熱的な人だったんだ』と周囲が驚くような変化を見せるケースがよくあります。場所を変えて新鮮な刺激を受けることで、その人の中で眠っていたポテンシャルが表出し、それが自信にも繫がるので、人材育成の面でポジティブに捉えられています(加藤さん)

 「私自身がそもそも自分で何かをゼロから立ち上げるよりも、熱い想いを持った人を手伝うことに大きな喜びを感じるタイプ」という加藤さん。熱い想いを持った人と出会える「場所」に身を置いていたいと、現在は京都、徳島、岩手など全国で10以上の複業を持って動き回っています。

 ワーケーションを社内に広げよう

 現在、ワーケーションを社会の中でどのように位置付けるかについて、いろいろな場で議論されています。人を送り込む側の企業にとっては、社員をリフレッシュさせてQOLを上げ、労働生産性を改善することができるだろうから「福利厚生」に含まれるのではないか。新しい環境での事業創造や異業種交流によって人材育成の機会になるのだから「研修」に近いのではないか。あるいは、地方の課題解決によって社会をよりよくすることに貢献できる要素も多いから「CSR(企業の社会的責任)」を果たせるのではないか。人事部、それに付随する働き方改革系の部署、CSRやソーシャルイノベーション系の部署、地方創生系の部署など、企業の中でワーケーションに興味を持っている各部署の皆さんは、この新しくやってきたワークスタイルをどう捉え、会社に取り込んでいくか頭を悩ませています。

 ワーケーションは、「福利厚生」なのか?

 「研修」なのか?

 「CSR活動」なのか?

 結論から言えば、どれも当てはまります。ワーケーションは、福利厚生であり、研修であり、CSR活動です。すべての要素をあわせ持っています。

 それでも、企業にとっては、

 ・本当に、労働生産性は上がるのか?

 ・本当に、人材育成になるのか?

 ・本当に、イノベーティブなアイデアや事業は生まれるのか?

 ・本当に、優秀な若手社員の離職率ダウンに繫がるのか?

 といった疑問がまだまだ根強くあり、社内の制度を変更してまで社員をワーケーションに送り込むことに積極的になれずにいます。現時点(2021年夏)では、ワーケーションを実際にやっている人はほとんど個人として動いていて、会社公認で実践している人はごく一部に留まっています。

 一方で、社内の経営層やその他の意思決定層など決裁権を持つ人が、実際に自分でワーケーションを体験し「これは意味がある」と実感した場合、そのあとの企業の動きは比較的スムーズです。私たちが企画するワーケーション・イベントの参加者もほぼ個人として来ていますが、なかには理解のある上司の方が「絶対に行った方がいいから、ぜひ行ってこい」と力強く後押ししてくださって、法人として参加している例も少数ながらあります。

 「ワーケーションって、本当にいいの?」と疑問を感じている、企業の意思決定層の方がいらっしゃったら、一度ご自身でワーケーションにチャレンジすることをおすすめします。

一般社団法人みつめる旅著『とこでもオフィスの時代 人生の質が劇的に上がるワーケーション超入門』(日本経済新聞出版、2021年)、「第4章 今、自分が欲しい『刺激』を取りにいく」から抜粋。転載にあたり一部編集しました。

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