BizGateリポート/経営

ウクライナ危機が示唆する国際金融版「進撃の巨人」 宮崎成人・三井住友信託銀行顧問に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 ウクライナ危機が長期化の様相をみせ、国際経済の先行き不透明感が深刻化している。ロシアへの制裁が続く一方、エネルギー・食料価格の高騰が止まらない。1920年代から今日まで9回の金融危機を経験した国際経済に10回目の危機への懸念も出ている。世界銀行・駐日特別代表などを歴任し、「教養としての金融危機」(講談社現代新書)の著者である宮崎成人・三井住友信託銀行顧問(東京大学大学院客員教授、元財務省副財務官)に聞いた。

 サドンストップが起こす国際金融危機

 ――ウクライナ侵攻で国際通貨基金(IMF)は2022年の世界経済成長率見通しを0.8ポイント下方修正して3.6%に、世界銀行は4.1%から3.2%にそれぞれ下方修正しました。

 「世界的にインフレと成長鈍化が同時に進行しており、特に新興市場国・途上国と、戦場に近い欧州への打撃は小さくないでしょう。米国には積極的な利上げによる景気冷え込みリスクがありますし、日本でも身近な食材やガソリンが値上がりして久々にインフレが政治課題に上がっています。新型コロナウイルスの流行で多くの国で財政が悪化していましたが、これからも国民生活のサポートや国防費の増加で財政支出が拡大すると見込まれます。しかし、それにより潜在成長率が大きく向上することは期待できないので、世界経済は厳しい局面が続きそうです」

 ――ロンドン、バーゼル、ワシントンなどで国際金融機関の現場に立った一方、財務省で日本を代表する一人として国際交渉に携わった経験から、新著では過去 100 年間に発生した世界大恐慌、日米貿易摩擦、アジア通貨危機、リーマン・ショックなど、9つの危機を分析しました。

 「国際金融危機は資金の流れが突然激減、逆流する(サドンストップ)ことで発生することが多々あります。表面的には順調に見えていても、少しずつ色々なゆがみが蓄積している結果、隠れていた情報が急に現れると投資家がパニックに陥って資金の流れが変わってしまうのです。危機はサプライズとして現れますが、後から冷静に分析すると、起こるべくして起こったのだと理解できることがほとんどです。その意味では、特に新興市場国や途上国の経済統計の信頼性向上や、国際的な金融規制が十分ではない投資ファンドやノンバンクなどの透明性を高めることが極めて重要です。いずれにせよ、過去 100 年間の国際金融の歴史は、いわば割れた風船をどう修復するか、次は割れないようにどこを補強するかの手探りの歴史だったと言って良いでしょう」

 

 

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。