ビジネスに効く 伝わる文章術

ビジネス文章、ファクト・数字・ロジックで納得感 白鳥 和生

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 オピニオンと区別を

 まずは、オピニオンとファクトをきちんと区別すること。そして、オピニオンの部分をいかにファクトで裏付けしていけるかどうか。これが、データを正しく理解し活用していく上で非常に重要だといえます。

 そもそも何のためにデータ(数字)を使うのかを考えることも重要です。

 何をやるにしても、データそのものがメインになることはそれほどありません。データはあくまで裏付けだからです。

 今、「データが必要だといわれているからデータを使っている」人は多いはずです。本書でも数字が重要と言っているので、データさえ入れればよいと考えている人もいるでしょう。ですが現状は、データを分析する人の多くがデータの海に溺れている。いわば目的もなく泳いでいる状況に陥っています。

 データをただ集め、ただ眺めただけでイノベーションが起こせるなら苦労しません。何よりも先に、達成すべきビジネス上の目的があって、その目的に沿ってデータは取捨選択されるべきです。

 言葉は時にウソをつきますが、数字はウソをつきません。

 データは数値の大きさをそのまま示す「絶対値」で管理されていることが多いようです。例えば、月別の売上高。今月は600万円の売り上げがあった、前月に比べると50万円多かった、などとなっていますが、季節要因などを加味しないとミスリードする可能性があります。前年同月比ではどうだったのか、あるいは5年前と比べたらどうだったのか。少し手を加えれば、データの価値はより高まります。

 特にコロナ禍を経験した2020年の売り上げは特殊要因が大きい。そういう場合は前年比で比較をしてもあまり意味がなく、前々年比で分析して多いのか少ないのかを検討すべきでしょう。

 よく「急成長している」といった表現が使われます。しかし、どの程度の成長なのかわかりません。単に20%成長といわれても、1億円企業の20%成長なのか、1兆円企業の20%成長なのかでは、数字の持つ意味がまるで違います。さらにいえば、1年で20%成長なのか、10年かかっての20%成長なのか。期間も重要な判断基準になります。

 言葉ではなく数字で理解し、数字も絶対値や率をバランス良く把握するクセをつけたいものです。そうすれば情報リテラシーは飛躍的に高まります。

 「数字」「ファクト」「ロジック」は、年齢や性別、国籍の違いを超えて、誰もが納得しやすい論拠です。

 社内外に向けて報告書を書く際も、今回紹介した「雲・雨・傘」は問題の概要を把握し、整理するのに役立ちます。思考を進める際には、問い(論点)と答え(結論)が対応しているかを、すぐに確認することもできます。ですから、プレゼンなど人に説明する際にも「雲 → 雨 → 傘」の順に話の流れをもっていくと、理解してもらいやすくなるはずです。

 お互いの意見を尊重するためには、自分の意見を相手にわかってもらうロジックとアウトプット力が必要です。見たことや学んだことを自分なりに解釈し、付加価値を付けて表現する力がアウトプット力です。

 目の前に起こっている事実、過去にあった事実を的確にとらえ、その上で論理的にメッセージを展開する。

 ビジネスにおいて正しい意思決定を促すには、このファクトとロジックの合致は欠かせません。

 同じことが分析にもいえます。結果につながる分析は、ファクトとロジックが合致しており、〝腹落ち感〟を生みます。逆に、ファクトとロジックが合致していない分析は、どれだけ時間をかけようとも、結果につなげることは難しくなります。

 

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。