日経SDGsフェス

難局でこそ「取り残さない」 行動と共創、加速の時(2) 日経SDGsフォーラムシンポジウム 講演

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 ロシアによるウクライナ侵攻や収束が見通せない新型コロナウイルス感染症、気候変動問題など社会は多くの困難に直面している。国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)達成へ向け、今なすべきことは何か。日本経済新聞社と日経BPは5月10日、オンラインとリアルのハイブリッド方式で「日経SDGsフォーラムシンポジウム」を開催。産官学の識者に加え若き起業家や高校生も登壇し、難局にあっても「誰一人取り残さない」ため行動と共創の加速を訴えた。

日本経済新聞社と日経BPは2022年5月9日~14日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する世界規模イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

※2022年5月10日のプログラム「日経SDGsフェス 日経SDGsフォーラムシンポジウム」から、World Road CEO/Co-Founderで書籍「WE HAVE A DREAM 201 countries 201 dreams」 筆頭/共同編者である市川太一氏による「講演」、並びにWELLNEST HOME代表取締役社長の芝山さゆり氏による「企業講演」をダイジェスト版でご紹介します。

 講演 共通語は「当事者意識」

 World Road CEO/Co-Founder 書籍「WE HAVE A DREAM 201 countries 201 dreams」 筆頭/共同編者 市川 太一 氏

 当社は「地球を1つの学校にする」という夢をミッションに掲げ、教育と育成の仕事を行っている。世界全体で学びあう世界を次世代に残したいと思って企画した本には、活動家や起業家など国を代表する若いリーダーから多数応募があった。彼らの文章には「Should」よりも「Want」を多く使っているという共通点があった。多くの人が「こうしなきゃ」と言っている次世代よりも、「こんな世界をつくりたい」と考える次世代が増えることを願っているはずだ。Wantという言葉は主体性がある。Want型のリーダーシップを実践してほしい。

 本の制作を通じて夢と目標の違いについても学んだ。私は未来の景色が夢、その達成のために必要なことが目標と捉えている。SDGsは難しいと感じる人は自分が見たい景色からアプローチしてほしい。ヤングダボス会議ではある脱北者の女性のスピーチが印象に残った。彼女の話に感銘を受けた各国の若者が、英語力のレベルに関係なく他国の課題に対して当事者意識を持って語り合っていた。当事者意識は世界共通語になり得る。次世代に必要なのは当事者意識を持てる経験を通して共通言語を増やすことだと思う。人の心はデータのような客観的事実ではなく、強烈な主観的真実に揺さぶられる。自分の声を大切にして、人の心を揺さぶる物語を紡いでいってほしい。

 

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 企業講演 家づくりは「蔵づくり」

 WELLNEST HOME 代表取締役社長 芝山 さゆり 氏

 かつてドイツ訪問時に驚いたのは、「エネルギーパス」という家の燃費を表示する指標があったことだ。エネルギーパスや騒音を表すデシベルなど、住んだ後の快適性を重視している点が、欧州と日本との大きな違いだ。日本の住宅の平均寿命はおよそ30年だが、ドイツやフランスなどは70年以上だ。もともと木造住宅は60~80年育った木を使用するが、家として建てたとたん30年で壊してしまう。スクラップ&ビルドを繰り返していては、森林の維持もCO2削減も難しい。

 先進国に倣い、省エネで長持ちする家を日本でも普及させようと考え、2012年に住宅会社を設立。エアコン1台で暮らせる、省エネで長持ちする住宅を広めようとスタートした。17年に社名変更し、私が社長に就任して現在に至る。

 家づくりは家族のための「巣づくり」であり、「蔵づくり」でもあると考えている。かつて当社の創業者がドイツで住宅の技術に感嘆したところ、現地のマイスターに「日本には蔵という素晴らしい文化がある」と言われた。そこで、蔵のように常に湿度・温度が一定の家づくりをしようと考えた。当社の住宅はエアコン1台で温度約25度、湿度約50%の快適環境を保つ。省エネ・高性能で、電気代は一般家庭の約半分で済む。

 創業から10年間で、当社は800を超えるオーナーに住宅を引き渡してきた。また、戸建ての躯体(くたい)性能はエネルギーロスが少なく老若男女問わず住める集合住宅でも通用することを実証。現在はまちづくりにチャレンジしている。地方が抱える人口減少と超高齢化問題、そして地球が抱える気候変動・エネルギー問題に対して、まちづくりで解決を図りたいと考えている。

 当社は20年に、SDGs未来都市に認定された北海道ニセコ町で、持続可能なまちづくりを行う会社ニセコまち(同町)と包括連携協定を締結。空気と水がおいしく、豊かな自然があるまちに新たなコミュニティーがあれば人は移住したくなる。業界を超えて連携し、誰一人取り残さない未来をつくりたい。

“世界の知”に学び、SDGsに対する理解を深める
2022年5月開催「日経SDGsフェス」の動画を無料公開

日本経済新聞社の「日経チャンネル」では、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授、日本女性初の国連事務次長である中満泉氏をはじめ、同イベントにご登壇くださった国内外の有識者らによる講演やシンポジウムを動画として無料公開しております。この機会に、ぜひ、ご視聴ください。ご視聴はこちらから。

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