日経SDGsフェス

難局でこそ「取り残さない」 行動と共創、加速の時(1) 日経SDGsフォーラムシンポジウム 基調講演・キーノートスピーチ

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 ロシアによるウクライナ侵攻や収束が見通せない新型コロナウイルス感染症、気候変動問題など社会は多くの困難に直面している。国連が定めた持続可能な開発目標(SDGs)達成へ向け、今なすべきことは何か。日本経済新聞社と日経BPは5月10日、オンラインとリアルのハイブリッド方式で「日経SDGsフォーラムシンポジウム」を開催。産官学の識者に加え若き起業家や高校生も登壇し、難局にあっても「誰一人取り残さない」ため行動と共創の加速を訴えた。

日本経済新聞社と日経BPは2022年5月9日~14日、SDGsをテーマにすべての人々や企業とともにSDGsの実現を議論する世界規模イベント「日経SDGsフェス」を開催いたしました。

※2022年5月10日のプログラム「日経SDGsフェス 日経SDGsフォーラムシンポジウム」から、ノーベル経済学賞の受賞者であるエール大学スターリング経済学教授のロバート・シラー氏による「基調講演」、並びに国際連合事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉氏による「キーノートスピーチ」をダイジェスト版でご紹介します。

 基調講演 ナラティブの発生・伝播 注視     

 エール大学スターリング経済学教授 ノーベル経済学賞受賞 ロバート・シラー 氏

 経済学者でない人々が経済について語るとき、計算ベースとはいえない関心のあるストーリーや意見が含まれることに私は長い間悩まされてきた。1871年からの米国の株価の推移は伝染病の波と類似性がある。何がこの変化を引き起こすのか考え、その結論はストーリーではないかと考えた。

 ストーリーは様々なところから発生して伝播(でんぱ)しやがて終息する。日本の株価や住宅価格は1990年ごろがピークだったが、ドライバーになったのはナラティブ(物語)だ。ナラティブは複数が同時に存在するため定義付けが難しい。例えばフェイクニュース、強力な経済、貿易戦争、不動産バブルなどのナラティブがあるが、どれが株式市場にポジティブな影響を及ぼすかはわからない。

 キケロは紀元前55年に「視覚は人の心にもっとも強く刻まれる」と、ナラティブの重要性を説いている。デジタル時代の今、検索エンジンなどの登場で経済学も変化した。例えばジョークや有名人の発言といったナラティブは、それが正しいかどうかよりも受け手がどのような印象を持つかが重要で、それを見た人はナラティブをさらに伝播させていく。SDGs関連の例ではグレタ・トゥンベリさんはナラティブ、ストーリーテラーといえる。今後ナラティブはより注目を集めるだろう。人類がナラティブを社会的な良い目標のために使うことを願っている。

 

◇     ◇     ◇

 キーノートスピーチ 平和への投資、外交と対話に

 国際連合事務次長・軍縮担当上級代表 中満 泉 氏

 ロシアのウクライナ侵攻が世界中に衝撃を与え国際平和と安全、私たちの将来を脅かしている今、平和について考えることは極めて重要だ。世界は不安定な場所となり、軍縮という概念が危機にさらされている。軍縮はユートピア的概念ではない。人間の安全保障、国家の安全保障、集団安全保障の現実的な要素、ツールであり、紛争の予防、緩和、解決に必要不可欠だ。8月開催の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では核兵器不使用の規範の再確認、核兵器のリスクを減らすための現実的な措置の合意等の成果が達成されなければならない。

 この戦争は世界の脆弱な人々や国を攻撃している。食料・エネルギー価格の高騰や物価高も深刻だ。国連ではグローバル危機対応グループを設置した。困難な状況下でもSDGs達成の道筋を守らなければならない。また加盟国や関係者の意見を集約し、紛争を予防、緩和するため行動しなければならない。

 激変した国際環境の中、グテレス事務総長は平和のための新しいアジェンダを来年、発表する予定だ。核兵器不使用に関する強力なコミットメント、核兵器廃絶へのタイムライン、最新技術の兵器化規制、人権を尊重し紛争の根本原因に対処する開発支援等を含むものになると考える。私たちは武器のみへの依存をやめ外交と対話へ投資すべきであり、これは努力に値する目標だと信じている。

“世界の知”に学び、SDGsに対する理解を深める
2022年5月開催「日経SDGsフェス」の動画を無料公開

日本経済新聞社の「日経チャンネル」では、ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授、日本女性初の国連事務次長である中満泉氏をはじめ、同イベントにご登壇くださった国内外の有識者らによる講演やシンポジウムを動画として無料公開しております。この機会に、ぜひ、ご視聴ください。ご視聴はこちらから

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