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国内外400人全員フルリモート  ニットのマネジメント

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 ライフスタイルに合わせて好きな場所、好きな時間に働ける――。国内外に住む約400人がフルリモートで働く会社がニット(東京・品川)だ。バックオフィス系業務のオンラインアウトソーシングサービスを展開している。リモートワークが定着するなか地方へ移住する人も増えている。リモート環境でどう組織をマネジメントしていくかは企業共通の課題。新しい働き方の最前線にいるニットの取り組みを紹介する。

 資料作成などをチームで請け負う

 「資金調達のための資料を早急に作ってほしい」

 ニットが展開するオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU(ヘルプユー)」にはこうした依頼がくる。業務を受託すると、まず業務の中核となるディレクターを決める。ディレクターは業務の内容や納期、工数などから必要なスキル、人数を計算しチームをつくる。チームはそれぞれ業務を分担し、ディレクターが納品する。ディレクター約40人、スタッフ約360人の計約400人のメンバーが仕事をしている。ニットが特徴的なのはこの約400人がフルリモートで働き、一連の作業をすべてオンラインで行っていることだ。

 ディレクターやスタッフは、子育てのために仕事をやめた若い母親、親を介護するためにUターンした元会社員、パートナーの転勤に伴い海外に住むことになった人などさまざまだ。そうした人が都合の良い時間、都合のよい場所で仕事をすることができる。就業時間やオフィスから働く人を自由にする、新しい働き方のプラットフォームともいえる。

 「『働く』選択肢を増やしたい」

 創業は2017年。秋沢崇夫社長はベンチャーでの仕事を辞めて米国に長期旅行中に「インターネットとパソコンがあればどこでも仕事できる」ことを確信。パートナーの転勤や介護などで働くことを諦めざるを得ない人たちに、働く場所をつくるなど「『働く』選択肢を増やしたい」と創業した。

 発注する企業のメリットもある。社員1人を雇用するまでもない仕事を外部に任せ、自社の強みが発揮できる分野に集中できるアウトソーシング自体の利点のほか、ニットの抱える多様な人材から生まれる仕事の質だ。

 「社員以上に顧客企業を考える気持ちで提案をする」と米国在住のディレクター、ニイクラ佳代さんは話す。資金調達の資料をつくる際、外部からの視点やこれまでの経験を生かした資料をつくり、顧客に感謝されたという。ニットのディレクターやスタッフへの採用率は1%。仕事の経験など一定のスキルを持つメンバーが仕事の質を担保している。

 請け負う業務は、経理業務、資料作成、サイト構築、SNS運営など多岐にわたる。費用は基本契約「30時間10万円(1カ月、税抜き) 」。30時間の中で経理業務15時間、資料作成10時間、人事業務5時間、といったように月ごとに柔軟に決められる。主な顧客はITベンチャーだが、最近は大手企業の利用も増えている。1月あたり200程度の案件を請け負うという。

 リモートでもメンバー間で「気軽に質問」

 フルリモートでのマネジメント力もニットの強みの一つ。リモートワークが定着するなか、リモート環境でどう組織をマネジメントしていくかは企業共通の課題になっている。実際のオフィスで顔を合わせたこともなく、オンラインで初対面のメンバーと仕事をすることも多いニットではどうしているのか。

 「わからないことを気軽に聞けるようにする雰囲気づくりが大切」とニイクラさんは話す。仕事の発注からスケジュール管理、業務中のやりとりはチャットアプリを使って文章で行う。それだけに「絵文字や語尾に工夫して聞きやすい雰囲気をつくっている」という。「業務の目的、ゴールを明確にしてベクトルを合わせる」というのは新潟県上越市にUターンしたディレクターの小田寛之さん。いずれも、実際に顔を合わせたことのないチームを1つにまとめるためのノウハウだ。

 

 

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